TVや新聞やネットで、お偉い肩書きを持って輝いて見える誰かが何かを「良い」と言えば、私達はそれで全部納得してしまう。
ふうん、あの人がそう言うならそうなんだろう。あれは良いんだな、正義なんだな、と。
けれど、彼らに「悪い」と認定されたものがどうして「悪い」ということになっているのかは誰も考えない。調べないし、そもそも気にしないからだ。
だってそうだろう? 私達にとって、ニュースは娯楽の一部でしかない。
大事にしているのは、興味が引かれるかどうか。面白いかどうかだ。
かの独裁者は、「大衆は小さな嘘より大きな嘘に騙されやすい」という言葉を残している。私は数年前より、ふとしたことで世界の様々な嘘や矛盾や歪みに気づいてしまったから、それが本当のことなのだと日々痛感している。
時々世界のイカれ具合に、足下が崩れ落ちてしまうかのような錯覚を抱く。計り知れない恐怖と絶望と孤独感。私は明日も生きていけるのだろうか、と思ってしまう。
皮肉なまでに素晴らしい洞察力で描かれたこの物語は、そんな現実と見事にシンクロする。
私は幼い頃、ピーターパンの物語を読んで「キャプテン・フックなんていらない! 死んじゃえ!」と思ったものだが、今は平身低頭して彼に謝りたい気分だ。彼ほど慈悲深く、勇気のある、男前な人間はそういない。
よく考えてみて欲しい。
普通、海賊は「他の商船」などを襲って稼ぎを得ている。
しかしこの世界には、彼以外に船を操る者はいない。この稼業はそもそも成立しないのだ。それなのに、どうして彼は「海賊」と名乗り、ピーターパンに敵対しているのだろう?
全てこの物語を読めば氷解する。
目からウロコが落ちると同時、貴方は恐怖するだろう……。
ネバー・ランドという世界の構造、時の流れに囚われぬ少年の、凄まじいまでの嘘と悪の正体に。
夢が甘さを失った時、そこに横たわるのは残酷なまでの現実である――
子供の頃、ピーター・パンの物語を本で読んだり映画を見たりして、彼と一緒に空を飛んでネバーランドに行ってみたい、と思った人も多いのではないでしょうか。
ピーターに連れられてやってきたロストボーイズ——迷子たちが暮らすネバーランドで、彼らをつけ狙う海賊たち。いったい彼らはどこからやってきて、どうしてピーターたちと敵対しているのか。
実は、初めて読ませていただいたのは結構前なのですが、最近ディズニーの「ワンス・アポン・ア・タイム」というドラマシリーズを見ていて、登場したピーター・パンの邪悪さに、こちらの物語を思い出しました。
改めてこの発想、世界観(そしてフックの男前さも!)凄いなあと思った次第です。
夢と希望に満ちていたはずの物語を一気に不穏なお話に変えてしまう、怖いのに、でも何となく目が離せないそんな不思議な御伽噺。おすすめです!
皆さん、ピーターパンはお好きですか?
子ども達のヒーロー、ピーターパンのお話です。
ピーターパンに限らずですけれども、長く愛されるお話には魅力的なライバルや悪役がつきものですよね。
ピーターパンに出てくる悪役といえば……?
そう、フック船長です。
彼がどのようにして誕生し、ピーターパンの敵となったのか。
それがこのお話です。
読めば読むほど、これってもしかして原作に書いてあったんじゃ……?と錯覚を起こしてしまうくらいに、引き込まれてしまいます。
読み終えた後も、果たしてピーターパンのことを好きなままでいられるでしょうか……?
大人向けのピーターパン、ぜひ、ご一読ください!!