狂愛なる彼女たちとの平穏な学園生活
こばや
第1話 全てはここから
高校2年の6月。
今日もいつもと変わらない、絶好の登校日和。
いつもの日課をこなし、清々しい気分の俺・
いつもと変わらない道に、いつもの制服。ほとんどいつも通りである。
特別何か変わったことがあったことがあるか、と聞かれれば2つあった。
1つ目は妹の蜜に俺のいつもの日課である、俺の趣味である美少女フィギュアを、下から眺めようとしていたところを見られたことだ。
「お兄ちゃん、それ気持ち悪いからやめた方がいいよ?」
「あっ、はい」
グウの音も出なかった。
「せめて私に見つからないようにやってよ。ホント気持ち悪いから。そんなの見て何が楽しいんだか」
それだけ言うと蜜はスタスタと俺の部屋を通り過ぎていき、日直だからと先に家を出た。
蜜にあんなに冷たい目で見られることは滅多に無いため、俺は朝から結構なダメージを負った。
これが1つ目。
そして2つ目は、昨日の放課後、誰もが目を引くような飛びっきりの美少女に高校の校舎裏で人生初の告白されたことだろうか。
もちろん
「あなたの事が嫌いなの」
とかいう謎の報告の方の告白ではない。
歴とした愛の告白の方である。
「あなたの事、ずっと気になっていたの。良かったら付き合って欲しいの」
綺麗で真っ直ぐな黒い髪を
今でも驚きである。
胸も大きく、俺は付き合うどころか、付き合ったその先のことまでも考えていたのを1日経った今でも覚えている。
「桜夜くん……っ」
彼女に熱っぽく俺の名前を呼ばれる。
「まだ、キスし足りない?」
「……それは」
俺の言葉に恥ずかしそうに俯く彼女。
「言葉にしてみないと分からないよ?ちゃんと俺に伝わるようにしなきゃ」
俺はどう言ったわけか、変にカッコつけた言い方になっていた。舞い上がっているからだろうか。
「えっと……それじゃあ言うわね……?」
俺は彼女がその言葉の続きを言うのを待っていた。
彼女が今、言葉を発しようとしたその時だった。
「ねぇ、聞いてる?」
「はいっ!?なんでしょうか!?」
本来の彼女に声をかけられ俺は現実に引き戻された。
今彼女に引き戻されなければどこまで考えていたのかと思うと鳥肌が立って仕方なかった。
「今固まってたけど大丈夫?」
綺麗な黒い髪を耳にひっかけながら、首をキョトンとさせ美少女な彼女は俺を心配そうに見つめていた。
「大丈夫です!僕は元気です!」
あまりにも、綺麗すぎて俺はわけも分からず飛び跳ねた。
そんな俺の様子に
「そう……?ならいいんだけど」
彼女は苦笑しながらも、それ以上のことは聞かなかった。
心做しか胸を気にしている様子だったが、気の所為だろう。
それよりも、彼女に話しかけられるまで俺はなんて気持ち悪い妄想していたのだろうと思う。表情に出ていなかったか今でも心配になるくらいに。
これだから童貞は。
そんな、自分の心の声に地味に傷ついていると
「それじゃあ、返事は明日聞かせてね。……待ってるから」
そう言いながら彼女は名前を名乗らず、そそくさと校舎裏から走り去って行った。
「結局あの子誰なんだろう……」
名前も知らない、そして学校でも見覚えのない巨乳黒髪美少女。
昨日の夜からずっとその事ばかり考えていた。
結局あの子が誰かなんて分からなかったけれども。
それでも、俺は彼女のことが気になって仕方なかった。
「今日、待ってるって言ってたよな……」
彼女が最後に言い残した言葉を反復させながら、再び学校へと向かい始めた。
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