第15話 不意打ちの第2幕
「さて、と。ねぇ
そう言って
陽ちゃんの時と引き続き、俺はまた人気のないところに連れ込まれていた。
「ええっと……やっぱ陽ちゃんを止めなかったから?」
紫月が怒っている本当の理由を知りながらも、俺はその理由を口に出すのを
「本当にそう思う?ねぇ、ちゃんと私の目を見て言える?」
「……ごめんなさい、パンツを見ちゃったことですよね」
ガチギレ状態だった紫月にそんな手が通じるはずもなく、むしろ火に油を注いでしまったようだった。
「ちゃんと分かってるじゃない。次からは気をつけてよね」
すると、正直に応えたからか、紫月の怒りがみるみるうちに収まっている気がした。
彼女の喜怒哀楽の変化がわかりやすいのを改めて実感した瞬間であった。
とは言え
「……うぃっす」
まだ怖いことには変わりなかったが。
紫月の怒りが収まるまでひたすら地べたに座って待つか、と考えていたその時だった。
「それで?どうだったの?」
彼女が突然、変なことを聞いてきた。
俺は一瞬何を言われてるのか分からなかった。
いや、聞かれてる意味は分かる。そっちは分かるが、どうして紫月がそんなことを言い出したのかが本気で分からなかった。
「どうだったっていうのは……?」
念の為に俺は彼女に質問の意図を探ろうとした。
何かの間違いであってくれと。
「……その、やっぱ男の子はああいう感じのがドキドキするの?」
「あぁ……そういう」
どうやら、本気らしかった。
紫月は本気で俺が陽ちゃんのパンツを見ちゃった時の感想を求めているようだった。
「それでどうなの?」
ずいっと、顔を寄せ“ 早く答えて”と言いたげな表情で俺を見る紫月。
陽ちゃんのパンツを少しでも見てしまった罰だろうと思い、俺は
「まぁ……うん、ドキドキした。……これ口に出すのすっげぇ恥ずかしいな」
羞恥を感じながらもなんとかその時の思いを答えた。
これで少しは落ち着くだろうか、と思っていると
「そうなのね。……桜夜は好きなの?」
これまた紫月が変なことを聞いてきた。
さっきの羞恥を乗り切った俺にはもはや、これを答えることはなんてことはなく
「俺?俺はまぁ、確かに嫌いじゃないけど」
難なく答えた。
1度乗りきってしまえばなんてこと無かった。
が、その油断が命取りだった。
「私がしても、ドキドキする?」
「……はえ??」
紫月の不意打ち質問に俺は素っ頓狂な声をあげる。
すると、俺が上手く聞き取れていないと思ったのだろうか
「だから、陽ちゃんじゃなくて、私でもドキドキするのかって聞いてるのよ」
再度、より詳しく聞いてきたのだった。
いや、ホント訳分からん。
そんな上手く頭が回らない状況で聞かれた質問だからか
「そりゃ、自覚ないだろうけど、紫月は美少女だしさ、そんな風に誘われればドキドキしない男はいないと思うわけで」
俺は早口で、何とか伝われ!!と思いながら言葉にしていたが、当然そんな言葉に俺の本心が含まてれいるわけがなく、
「男が、じゃなくて桜夜に聞いてるんだけど。ドキドキするの?しないの?ハッキリ答えて」
当然紫月もそれに気づく。
俺は諦めた。
諦めて、自分の気持ちの一部を伝えることを決めた。
1回、そしてまた1回と俺は依然として座りながら、大きく深呼吸をする。
やがて覚悟が決まった俺は
「……するに決まってるだろ。普段のコスプレ撮影もドキドキしてるんだから」
ポツリと、自分の言葉を口にした。
「……ねぇ桜夜」
そう言って、さっきまで俺と同じ目線になるように膝を曲げ屈んでいた紫月がスッと立ち上がった。
すると、そのままスカートの裾に手をかける紫月。
「…………見る?」
俺は一瞬頭が真っ白になった。
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