第26話 罪深き無自覚
先に下へ降りてると言って、一足先に一階のリビングへ向かった蜜を見送った俺は、すぐさま未だに
滅多なことでは入らない妹の部屋に入ったことで、俺はなんとも言えない背徳感に襲われた。特に悪いことをしてる訳では無いのだが、不思議である。
すると、妙に甘ったる、いかにも女の子!といった香りが充満する部屋の隅のベッドに青白いショートヘアが特徴の紫月が横たわっているのを確認出来た。
俺は紫月の無防備な寝顔にドキドキしながらベッドの側まで近づくと、恐る恐る紫月の肩を揺らす。
「おい、紫月。大丈夫か?おーい」
すると、効果的面で
「う、うーん……?あれ……?いつの間にか寝てた……?」
紫月は目を擦りながら体を起き上がらせる。
「よかったぁ、目覚めたみたいで。……体に異変とかないか?」
「んー特にないけど」
自分の手や腕、足を確認する紫月。
「そうか、良かったぁ」
俺が安堵する様子に引っかかったのか
「何かあったの?」
紫月は
この様子だと、紫月は墨谷先輩の事にまるっきり気がついてない様子だった。
特段、墨谷先輩のことを教える必要も無いが、被害者である紫月に教えない理由も無かった。
「俺が気絶してる間に、墨谷先輩がどこからか部屋にやってきてそのまま紫月と蜜に催眠スプレーをね……。しかも副作用もあるって言うし……。まぁ無事なら良かったよ」
結局、ざっくりとさっきまでのことを説明したが、いまいち事態が飲み込めていないのか
「ん?墨谷先輩……?それに催眠スプレーに副作用って……」
キョトンとする紫月。
いつものようにマイペースな紫月に俺は思わずドキリとする。
しかも……
「後でそれ説明するからさ、とりあえず服……整えてくれない……?」
何故か紫月のシャツが肌蹴ているから余計にドキドキさせられる。
彼女の胸元と腰周りからちらりと見える紫色の布地に視線が吸い寄せられていた。
すると俺に言われてようやく気づいたのか、それとも気にしてなかったのか
「あっ、いつもの寝てる時の癖でつい」
恥ずかしがる様子もなくただただ笑うだけだった。
「いや、どんな癖だよ」
「脱ぎ癖?」
「見ればわかるよ!とりあえず俺は下に降りてるから」
未だにチラリと見えてる紫色の下着を隠す素振りが見られない紫月に呆れた俺は、そう言って女子っぽい香りが漂うこの部屋を出ようとした。
「えっ?別にこのままでも私は構わないけど」
「俺が構うんだけど!?」
いつになったら紫月は俺を男として認識してくれるのだろう。
そんなことを考えながら俺は紫月を置いて蜜の待つ1階へと降りていった。
「はぁ……。ちょっと勇気出したんだけどなぁ……。私じゃやっぱ魅力ないのかな」
まさかさっきのが、彼女なりのアプローチだったとはその時の俺には気づきもしなかった。
狂愛なる彼女たちとの平穏な学園生活 こばや @588skb
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