第9話 初配信!

 洞窟の出入口を見つけた後は棺桶のとこまで戻りログアウト。

 初日はこうして終わった。

 次の日は一日にログインできる最大時間である十二時間フルでログインし、ゲーム内時間で三日かけて周辺探索した。

 歩きで見て周れるところは全てが雲の上だったからか、植物の類や動物を見かけることはなかった。

 下山することも考えたんだけど、斜面がかなり急で、とても道具なしでは降りれそうになかった。

 翼を使って降りることも考えたけど、チュートリアルで辛うじて使える程度になっただけで、下まで降りれるほど上手くは使えないだろうというのが現状だった。

 そんなわけで洞窟内に戻ってゲーム内のいくつか勝手の違う体に慣れるように動きながら、このあとどうするか考えていたがなかなかいい案が浮かばなかった。


 というわけで、配信することにした。

 なにがというわけでなのかというツッコミはノーセンキュー。

 自分でなんにも思いつかないんなら、他人に意見を求めれば良いじゃないかというわけである。

 本当はもっと身だしなみを整えてから配信する予定だったけど、このまま立ち往生して何にもできないというのが一番つらい。

 背に腹は代えられないのだ……………。


 ゲーム内での配信の仕方はすでに履修済みということもあって、てきぱきと配信準備を行う。

 第一回目の配信場所は洞窟の出入口の上にある、雲の上に出ている山脈の頂上。

 ここならロケーションだけはばっちりだろう。


 一緒に移るのはぼろぼろのドレスを着た女の子だけど…………。



 ~~~



「カメラの設置よし、できる限り身だしなみは整えた。あとは見に来てくれた人の知恵をお借りするだけ…………よし、配信開始!」


 準備を整え終わった私は、声出し指差し確認と某ヘルメットを被った猫の真似をしてから配信開始ボタンを押す。

 多分そんな早くから見に来る人はいないだろうから、のんびり鼻歌でも歌いながら待つとしよう。


「ふーん、ふーん、ふふーん、ふん、ふふふふ、ふん、ふん、ふーん♪」


 ・お、なんか配信やってる

 ・鼻歌かわいい

 ・初心者配信って書いてたけど、マ?

 ・初見でーす


「ふふふふ、ふん、ふん、ふーん、ふん、ふーん、ふーん、ふーん、ふふーん♪」


 ・あれ? もしかしてコメントきづいてない?

 ・あしぷらぷらしてるのかわいい

 ・服めっちゃぼろぼろやな、てかここ雲の上なん?

 ・あ、鼻歌終わっちゃった………orz


「つーぎーはー、なーににしよーかなー」


 ・コメント来てるのに気づかないwww

 ・さっきのめちゃくちゃあざとかわいいだった………ゴフッ

 ・↑タヒぬな、まだ鼻歌を聴けるかもだぞ!!

 ・この子、種族は何だろう? 竜人ではなさそうだけど…………新種?


「あ、あの曲にしy………………はにゃ!?」


 気持ちよく鼻歌を歌っていたらいつの間にかコメントがあった。

 しかもかなり前からコメントはあった。

 人数はひーふーみ…………八人!?

 うそでしょ、視聴者そっちのけで鼻歌を歌ってたってこと?

 恥ずかしすぎて顔が熱い…………。


 ・あ、気づいたwww

 ・気づいた時の声、「はにゃ!?」ってwww

 ・茹蛸みたいになってってカワ(・∀・)イイ!!

 ・ごちそうさまです!!


「ご、ごめんなさい!!皆さんをほったらかしにして鼻歌を歌ってて」


 ・ええんやで

 ・まあ、初配信やしそういうこともあるって

 ・あとでお歌配信もお願いします!!

 ・気を取り直して自己紹介よろしこ~


 コメントを見る限り、怒っている人は居なさそうだった。

 よかった~いい人達で………………じゃなくて、次からは気をつけなくちゃ!!

 とりあえず挨拶と自己紹介しなくちゃ、反省は配信が終わってからでいい。

 姿勢を正してカメラの方を向く。


「では、改めまして…………初めまして、視聴者のみなさま。私はログナっていいます。VRMMOも実況配信も初めてなので至らない点が多々あると思いますが、少しづつ改善していきますのでどうぞこれからよろしくお願いいたします」


 ・ちゃんと挨拶できてえらい

 ・きゃー、かわいい!! お姉さんとイイコトしましょ!!

 ・↑通報した

 ・今いる場所とかって聞いてもおk?


 コメント欄にちょっと怖い人がいるけどそれはスルーして、今回の配信の目的をコメントに答えつつ話題に挙げる。


「今いる場所はスタート地点の洞窟のある山脈の頂上ですね。具体的にどこの山脈かはまだわかってない状態です。今回の配信はそれを含めた相談したいことがあったので誰かが来てくれるのを祈って始めたんですよね」


 これでなにかしらいい案が出てくれると嬉しいなぁ…………。

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