第8話 ステータスと現在地 後編
必読と書かれたていたタブを閉じ、当初の目的だったステータス画面を見る。
それがこちら。
『ステータス
名前 :ログナ
種族 :吸血竜
種族値:1/100
職業 :なし
種族特性
・始祖の系譜
・龍の炉心
・真祖(吸血鬼)の血脈
スキル
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装備
武器:なし
頭 :なし
上体:ぼろぼろの漆黒のドレス
ぼろぼろの肌着
下体:ぼろぼろの肌着
足 :壊れた深紅のハイヒール
特殊装備
角 :なし
尻尾:なし
翼 :なし
所持金:0G(ゴルド) 』
正直、これが強いのか弱いのかパッと見ただけじゃよくわからない。
それよりも服装がぼろぼろと壊れたものしか無いのが気に食わない。
こちとら絶世とまではいかないけどかなりの美少女なんだぞ!
こんな格好じゃ、まるでどこかから攫われて来たみたいじゃないかっ!!
まあそんなことを考えたってどうこうなるわけでもないし、ここがどこかを調べるのが先だよね。
暗くて何にも見えないけど…………。
とりあえずこの棺桶らしきものから出ようと立ち上がると、急に脳内に直接語り掛けるような声が聞こえた。
『これからチュートリアルを始めます。よろしいですか?
YES / NO 』
びっくりして腰が抜けて座り込んでしまったのは置いといてYESの方を押す。
すると暗くて何も見えなかった視界が少しだけ明るくなっていった。
……………チュートリアルのタイミング、おかしくないかな?
~~~
チュートリアルではVRMMO初心者用に一通りの操作方法を教えてくれるメニューがあったため、それもありがたく使わせてもらった。
このチュートリアルでは、このゲームならではのシステムに慣れるのと、種族として備わっている能力の使い方の把握や取得を目的としたものだったらしい。
翼とか現実の体にはないものがある種族とかいるもんね、私みたいに。
そんなこんなでチュートリアルを終えると、最初は暗くて何も見えなかった棺桶っぽいものの周辺も良く見えるようになった。
これは空間が明るくなったわけではなく『夜目』という吸血鬼由来の能力でそう見えているだけで、『夜目』を持たない普通の人が見たら暗いままである。
これで安全とはいかないまでも行動ができるようになったから、現在地を把握するために探索に出かけよう。
~~~
私が最初に入っていたものはやっぱり棺桶だった。
その棺桶が置いてあった場所は洞窟らしきものの大きな空間だった。
そこに繋がる通路は一か所しかなかったため、現在はその通路を出入口があるはずの方へと進んでいる最中である。
地面は意外としっかりと整地されていて歩きやすい。
あ、壊れたハイヒールは脱いだよ。
歩きにくいもの。
というわけで現在は素足である。
幸い足裏にも鱗らしきものがあり痛みはほとんど感じない。
そんなわけでじゃんじゃか進む。
かれこれゲーム内で三十分くらいは歩いているが一向に出入口は見えてこない。
道は緩やかな上り坂になっているため、どこか高いとこにでもあるのだろうか?
もう少し歩いても出入口に辿り着けそうになければ今日はいったん戻るかなぁ……。
夜ご飯の支度をしなくちゃいけないから、そろそろログアウトしなきゃだしね。
それからさらに十分ほど進んでいくと前方が白くなっていることに気が付いた。
これは『夜目』を使っていると起こる現象で、暗いとこでも明かるときと同じように見える代わりに明るい場所は物凄く眩しく感じ白色となるのだ。
前方の白さも多分それだろう。
『夜目』の能力を解除すると一気に周りが暗くなる。
前方の白は通常の光と同じぐらいになっている。
やったね、ビンゴだ!
ようやく外に辿りつける嬉しさのあまり、思わず駆け足になる。
出入口付近は少し急な坂になっており速度を落として転ばないように上る。
そして辿り着いた出入口から見えた景色は………………あたり一面、雲だった。
「……………ほえぇ??」
変な声が漏れた。
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