この世の地獄を書ききっている物語

この世の地獄って何だろう?
現実に存在する地獄とは?

読んだ後にそんなことを思いました。
同時に現実を地獄だととらえる機会ってそれなりにあると。
今が最悪、いや、昔はもっとひどかった、将来にも希望なんて見えないし。
若い時期、年を取った時期、この世を地獄のようだと感じたことのある人は多いはず。
それをもっとも多感に感じるのは中学生くらいなのではないのかなと。

この物語には読んでいてもつらいシーンが多々あります。
人の、特に集団が放つ、狂気にも似た無邪気の皮をかぶった残酷さ。
それは子供ばかりでなく、大人たちもまた形を変えた残酷さを持っています。
その中で傷つく少年の心が痛々しく胸に迫ります。
もう息苦しいほどの、地獄のような現実世界が描かれています。

これはもちろん『物語』です。架空の話ではあるのですがリアリティーが満ち溢れています。
これは想像なんかじゃなく、現実でも十分起こりえることなのだと思えます。
作者がちゃんと人間というものをよく見て、人間そのものを書いているのが伝わります。

この物語が語ろうとしているのは何か?
私もまだそれを考えているところです。
そういう力を持った作品だということです。

みんな楽しい作品が好きだと思います。
でもたまにはこういう作品に触れることも大事な事じゃないかと思うのです。
誰かにとっての地獄、それを知ることは大事なことなのです。

ちょっと支離滅裂なレビューでしたが、ぜひ読んでみてください!

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