概要
「喰べる?」「喰べない」
母を殺された人喰いの少女が、別の人喰いに出会う話。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!人喰いの娘と人喰いの《異類婚姻》
まだ幼いその少女は人喰いの娘だった。人喰いとして殺された母親の娘であるから彼女もまた、人喰いに他ならないのだ。
少女は人を喰らい、過酷な環境のなかでも生き延びてきた。幼い外見で人間を油断させ、後ろから襲うのだ。そうして、喰らう。喰らう。
だって彼女は、人喰いなのだから。
人喰いという題材をこれほど巧く調理し、たった五千文字の短編のなかに収められた、著者さまの類まれなる才能。言葉もございません。ほんとうに素晴らしいです。無駄のない、しかしながら場景がありありと浮かぶ文章にも思わずうなりました。
喰らう。という行動には恐怖を克服したい、という感情があるといいます。彼女もまた、そうだったのかなと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!食べるものと食べられるものの境目
ひとりで狩りをする人喰いの少女と、別の人喰いの出会いのお話。
どこかうら寂しくまた荒廃した雰囲気の漂う、非常に丁寧に書かれた異類婚姻譚(とは少し違うかもしれないけれど、でも異種間の恋愛物語)です。
タイトルにもある『人喰い』の要素が、お話の軸にがっちり食い込んでいるところが最高でした。ただ異なる種族同士の恋愛というだけでなく、またただの化け物や怪物ではだめで、あくまでそれが『人喰い』でなければ成り立たない物語。事実、タグにも「カニバリズム」「食人」といった単語が並ぶのですが、なるほど看板に偽り無し、といった印象です。
カニバリズム、というと単純に人肉食のことを指したりもしますが、この…続きを読む