今年は、いや、今年も年明けから戦争の知らせにより幕を開けました。個人による殺人は365日発生しています。いくら殺人は悪だと問うても終わらない現実があります。では、それら殺人犯は、被害者の肉を食べたでしょうか?
人間が同じく人間を殺害した後に、捨てることと、食べることは、乗り越えることが難しい境界線があります。まるで絶壁に見えます。物理的に壁はなく、心理的に線が引かれているだけであっても。
人肉を食べてはいけないと各人が共通して自然に心中に道徳律を抱える、「人間」とは何か? 食人を描くとは人間を問う行為です。
そして、社会悪に抗う行為が、抗うために必要な行為を成す人物が、悪に対立するなら正義と呼べるのかも問われます。怖いですよ。というかグロいですよ。
風刺なら笑って終わりですが、本作で描かれるのは、命がけの意気込みであり、狂気です。その狂気が突き放されて描かれます。
この話の特徴を挙げるなら、真っ先に出てくるのはその世界観!
時は23世紀。異常なまでの温暖化の影響で、人類は地下に空間を作って生活しているのです。
しかし、現代の人類と大きく異なるのは、生活空間だけではありません。
実はこの時代の人類、不要と判断されると、食肉にされてしまうのです。
具体的に言うと、工場に送られ、殺された挙句その肉は缶詰に加工され、誰かのお腹の中へと消えていくのです。
それを食べるのは、同じ人間です。
どうして人間が人間の肉を食わなければならないのか。それほどまでにこの世界は食糧難なのかと言われると、そんなことはありません。サプリの技術が発達したおかげで、餓死や栄養失調の心配はありません。
なのになぜ人間缶詰なんてものが存在するのかというと、一言で言えば嗜好品。
自分たちがA5ランクのステーキや高級寿司を食べたがるように、この時代の一部の美食家の間では、人肉を食べるというのが娯楽となっているのです。
そんなことが許されるものかと思った皆様に朗報です。この時代にも、ちゃんとそんな考えをして、狂った美食家やそれを守る政府を潰そうとする人たち、レジスタンスがいるのです!
主人公である純も、食肉工場に送られそうになったところで逃げ出し、そんなレジスタンスの人たちと出会います。
そこから彼の生活は一変し戦いの中に身を投じるのですが、それまで普通の少年だった純も、戦いを通じてどんどん変わっていく。
ただし、戦うということはそれだけ人の命を奪うことなので、変わっていくのが良いことかどうかはわからない。
善悪も倫理も崩壊したようなディストピアで懸命に生き抜く少年少女たち。
その果てに、いったい何が待っているのでしょう?
温暖化の影響で、人類が地下で生活している近未来。
そこでは人間が優秀な人と落ちこぼれに分けられているのですが、落ちこぼれ、役立たずと判断された人の末路は悲惨です。
なにせ工場に送られて、食肉にされてしまうのですから。
……もう一度言います。食肉にされてしまうのです!
実はこの世界、美食家の間では人間の肉は美味しい食べ物として重宝されているのです。
美食家にとっては美味しいお肉が食べられて嬉しいでしょうけど、食べられる方はたまりませんよ!
主人公の少年も工場送りにされそうになったのですが、そんなところに送られてたまるかと逃亡。
親からも見捨てられ、一人で逃げていた彼を助けたのは、レジスタンスの少年少女たち。
彼らはこの世界のあり方に疑問を持ち、人間を食べるなんてとんでもないと、反旗を翻しているのです。
助けられた少年もピュアというコードネームを与えられ、レジスタンスと行動を共にしていきます。
このお話の面白いところは、主人公ピュアくんの変化。
元々倫理観の崩壊した世界に馴染めずにいましたけど、レジスタンスに入ったことで彼は変わっていきます。
この世界を変えるためなら、人を傷つけるのもいといません。
ピュアくん達が相手をするのは、人間を食べるような非常な奴らです。
こっちだって、甘いことを言ってはいられませんよ。
カニバリズムの蔓延する腐った世界を、ピュア達は変えられるのか?
ぶっ飛んだ世界観と襲いかかる過酷な運命に、ハラハラさせられました。
無能な人間は食糧として有効活用される。
非常にショッキングな設定で、冒頭から引き込まれました。
それも、行き過ぎた温暖化のために人類が地下に居を移し、人口が増え過ぎないよう徹底管理される中での『合理的なシステム』と考えれば、そんな未来もあるかも……と思わせられます。
主人公・純は、AIに落ちこぼれと判断され、管理社会から脱落した少年。
食肉工場送りになったところを逃げ出し、レジスタンスに拾われます。
本名を捨てた純は、持ち前の身体能力を活かし、腐った社会を壊すための戦いの日々に身を投じていくことに——!
情け容赦ないシビアな展開で、先へ先へと読む手が止まりません。
血まみれの日々でも、仲間の存在の心強さや恋の感情など、人間らしい繋がりに光を感じることでしょう。
一方で、純の中に芽生える殺人衝動は、彼の自意識を大いに揺るがせます。
人間が人間として生きるための倫理の線引きは。
何が正しくて、何が間違っているのか。
大義を果たした先で、どんな未来が待っているのか。
最後までハラハラし通しでした。
この結末は、ぜひあなた自身の目でお確かめください!
もうとにかく『ディストピア』なお話が抜群にうまい作者様の新作は、なんと『食人』!
今回はもうとにかくバンバン人が死にますと、そうお話を聞いておりましてですね、それはそれは楽しみにしておりました。
何せ私は「三度の飯とホラー映画が好き(さすがに言いすぎました。家族も大好きです)」な人間。もちろん私自身は食人に興味なんてないのですが、ただ、そういうお話は大好き。何せ、非現実的じゃないですか。いや、世界のどこかでは『現実』なのかもですが、少なくとも、身近な話ではないのです。だからこそ、『創作』の中の話として楽しめる。私はそう考えております。
さて、こちらのお話、もうタイトルからしてショッキング。だってもう『食人』って書いてますから。やっぱりね、ホラーのタイトルはわかりやすくないと!
こちら、未来のお話でして、地上はもうおよそ人間が生きてはいけない灼熱の世界となってしまっております。人類は地下に潜り、仕事はAIに任せ、サプリメントで必要な栄養を摂取して暮らす日々。
が、なんとこの世界、政府から『不要』と判断されてしまいますと、食肉にされてしまうのです。いや、人間はサプリで生きてるんでしょう?食肉ったって誰が食べるのよ?!そう思うでしょう?
人間が食べるのです。
ごく一部の『美食家(グルメ)』が食べるのです。
味気ないサプリしか知らないはずですが、一部の人間は知っているのです、その『肉』の美味さを。
主人公である純君はそんな世界から逃げ出すわけですが、何せ相手は『政府』。学生が勝てる相手ではありません。彼の『革命』がどうなるのか、毎話目が離せません。
今作もそうなんですけど、毎回毎回、よくもまぁこんなすんごい設定思いつくなと唸ります。なんていうか、いや、めちゃくちゃな世界なんです。いまを生きてる我々からしてみたら、まさかこんな時代が来るわけがないって思うのです。
ですが、数年後、数十年後、本当にそんな時代が来そうな気がする。人が人を狩り、生きるためではなく、嗜好品として食べる時代が来るんじゃないか、あるいは、我々が知らないだけで、そういう世界もあるのではないか、なんて思ってしまうのです。
果たして純君は世界を変えることが出来るのか?それとも彼もまた食肉となって美食家達の腹におさまってしまうのか?!彼の覚悟を共に見届けましょう!
AIが発展した23世紀。地下世界を拠点にする人間は、リモートで手軽に済ます生活を送っていました。遠くに行かなくてもAIが何でもサポートしてくれる生活は便利――と思いきや、不適合だと見なされた人は食肉工場へ送られてしまう負の一面もあったのです。
本作の主人公は、食肉工場行きになったところを逃げ出した17歳の少年・純。AIの追跡から逃れるべく目指した地上で、助けてくれる人達と出会います。彼らはレジスタンス組織ノンエデュリス。悪しき習慣カニバリズムをやめさせるために立ち上がった組織なのですが、彼らの手段に人の肉を食べるようになった人々の粛清つまり殺人も含まれていたのでした。
間違っている世の中を変えるために、新しい仲間とともに武器を手にする純。変わりたい熱意と純粋がゆえの危うさに胸がひりついてしまうSFホラーです。
23世紀の地球を舞台にした、SFホラー作品です。
読んでまず思ったのは、「あり得ない話ではないかも?」
この作品では温暖化が進んで灼熱の地獄になり、地上に住むのが困難です。よって、人類は地下に住んでいます。
そこはAIが管理する、ある意味快適な世界。人間はもはや考えることをしなくていい。AIに任せれば楽ちん。
けれど、その世界に適応できない人間というのはいるものです。
それが主人公である、純。
純は不適合とみなされ、なんと食肉工場行きにされてしまうのです!!
えぇーっ!!そんなの実際に起こるわけないよっ!と思う人もいるかもしれません。
けれど読む進めていくと、この世界の様相がわかってきます。
管理社会ということで、実に合理的です。犯罪抑制のためでしょうか? 娯楽と嗜好が制限されています。
でも、人間の欲求ってなくならないと思うんですよね。
合理的思考と、美味しいものを食べたいという欲求が暴走した結果が、人肉なのかなって。
この肉は食べていい、この肉は食べて駄目。それを決めるのは人間ですからね。
人間が「適応できない人間は生きるよりも、人肉となって役に立ったほうが人類のためになる」と決めたら、そうなっちゃいますよね。ダークですが。
けれど、希望はあります!!
この世界を変えるべく立ち上がった人々がいるのです!!頼もしい!!
だけどなんとなく、読んでいると不安が募ります。
「大丈夫なのかな? この作品ホラーだしね?」
この作品がどこに行き着くのかは、わかりません。
作者の無雲さんは読者に希望を与えるかもしれないし、または絶望かもしれない。はたまた、あっと驚く結末かもしれない。
どきどきハラハラぞくぞくしながら、更新エピソードを読んでいます。
この世界、どうなるのでしょう。ラストになにが待っているのか、楽しみでもあり怖くもあり。
ホラー描写が苦手な人でも読めると思いますので、ぜひどうぞ!
まだ数ページしか読んでないのですが。とても面白いので、レビューを書きたくなりました。
物語は、地球表面が焼けつくような暑さで、人が住めなくなった23世紀の世界。
温暖化が進み、40度を越す夏を過ごす時代に住む私たちにも、あながち空想ではない世界観だと思います。
さて、『ワールド』という世界に統一されて住む人びとは、灼熱の地上ではなく地下で生活しています。
当然の帰結として、食糧難や貧困、問題が山積みの世界。
そのなかでも、とりわけ問題なのは、役に立たないとされた人間を『工場(ファクトリー)』へ送り、食肉処理する施設があることです。
17歳の主人公は、父親に、その『工場(ファクトリー)』送りを宣言されます。
そりゃ、逃げるよね。
主人公、人肉にされることから逃げるため地上へと逃亡。
そこで出会った同じ逃亡者たちのコミュニティ。そこには、なかなかに個性的なメンバーが揃っています。
博士をはじめ、ガール、ボーイと個性的な名前をつけた個性的な面々。
秀逸なアイディアがつまった本作。この物語がどこへいきつくのか。悪くすれば、私たちの未来かもしれない世界を、ぜひ、お読みください。冒頭から引き込まれます。