第3話 5歳児の処断

■リーブル皇国 皇帝謁見の間


約束の1ヶ月が過ぎ、3馬鹿大臣が俺の目の前にいる。


「陛下、本日もご機嫌麗しく」

「貴兄達もな」


全く麗しくは無いが、挨拶は重要らしい。


「で、皆 案は持ってきたのか?」

「ご用意しましたが、陛下にはまだ難しいのではないかと・・」内務卿。

「やはり、正しい判断が出来るものを摂政にしてからのほうが・・・」外務卿。

「軍務は実戦経験が必要だと思いますので・・・」軍務卿。


「案を見せる気がということか?」

「いえ、陛下にはまだ早いのではないかと」軍務卿


「わかった、余の勅命に従わぬと言うことだな、近衛兵、軍務卿を処断しろ!」


この謁見のには4人の近衛兵が詰めているが、誰も動かない。


軍務卿はニヤリと笑みを浮かべている。

手を回していたか。

俺の想定の範囲内だけどな。


「近衛兵、余の命に従わぬと言うのか?」

「・・・」


誰も動かぬ。


「では、近衛兵からだな、行け黒狼、白虎」


俺の言葉を聞き終わる前に親友たちは両側の近衛兵に襲いかかった。


黒狼は首の骨ごと噛み砕いて胴体から首を簡単に外す。

白虎は前足で軽く頭を撫でて一撃で首の骨を折る。


4人の近衛兵は剣を抜く暇が無いまま床に転がった。

呆然とする3馬鹿に追い討ちをかける。


「白虎、次は軍務卿だ」

「お待、・・」


軍務卿は言葉を発し終わる前に、頭が逆方向へかしいで倒れた。


「で、内務卿と外務卿は案を見せる気はあるのか?」


5つの死体が転がる部屋で二人は先を争って説明しようとする。

どちらからでも良かったが内務卿から先に聞くことにした。


この馬鹿の案は増税だ。

小麦の納税割合を引き上げる、通関税を引き上げる。

まあ、国庫に金が無いんだから、1つの方法ではあるが。

俺が聞いてる範囲では、農民は既に飢えているレベルに近いらしい。

増税などすれば、それこそカクメイだ。

通関税も商取引が減るだけでたいした増税にはならない。


「話にならんな、1ヶ月後にもう一度持って来い。今度は支出が減る案か小麦の取れ高や商取引が増える案にしろ」


次の馬鹿は、北の帝国に上納金を納めろという。

それも国家予算の1割の規模だという。

そもそも金が無いと言うのに何を言っているのやら。

それに、その金で向こうは軍備を整えて攻めて来るだろうに。


「貴兄の案は案ですらない。1ヶ月以内に帝国が嫌がる外交同盟を考えて持って来い」


玉座から降りて、白虎にまたがった。

使えない部下は持ちたくないものだ。



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