第13話 5歳児の外交方針
■リーブル皇国 皇帝謁見の間
今から会う外務卿が気の毒だ。
朝の内務卿、そしてハンスの決裁攻撃。
俺の気分は最悪だ。
早くマリーに癒して欲しいのに、まだこの謁見だ。
彼奴は俺の負の感情を乗り越えねばならないのだからな。
すでに敗色濃厚だろう。
「陛下、本日もご機嫌麗しゅうございます」
「貴兄もな」
「陛下より命じられました、外交政策を立案いたしました。わがアメリア連邦の体制をより強くすることこそが肝要とぞんじます」
「そこで、アメリア第2位のフラン共和国とわが国の間で婚姻外交を結ぶことで、磐石な体制を築くことを上申いたします」
フム、レベルは低いが筋自体は通っている。
「で、具体的にはどうしたいのだ」
「はい、フラン共和国には第1王女と第2王女がいらっしゃいますので、陛下がお気に召した方を陛下の妃としてお迎えしたいと考えております。」
たしか、フランの王は50歳ぐらいで、王女たちは20歳前後だったか。
少し、ほんの少し年上だが、政略結婚であれば充分ありうる範囲だが。
「なるほど、貴兄の考えには一理あるな」
「ありがとうございます。では・・・」
「余は貴兄に北の帝国が嫌がる外交案を持ってくるように命じたはずだ。この婚姻を帝国が嫌がると貴兄は思っておるのか?」
「たしかに、その部分はいささか弱いかと」
「弱い? 既に同盟を結んでいる2国に対して帝国は攻撃を仕掛けてきておるのだぞ!!余が同盟国と婚姻を結んだとして、帝国にとってはハナクソを投げられたほどの効果しかないわ」
「婚姻外交を行うのであれば、帝国が嫌がるものを考えよ」
「・・・」
「わからんのか? 帝国はアメリア以外で戦端を開いておる国があろう」
「帝国の西のクローネ王国でございます」
「ならば、クローネ王国との同盟か婚姻を考えて実行せよ」
「ですが、クローネ王国には帝国領土を通過せねば交渉ができませぬ」
「であれば、密使を立てろ。それと、今後もクローネと連携できるように、帝国内には常に密偵を街道沿いに放っておけ。」
「しかし、・・・」
「貴兄の言い訳は聞き飽きた! 1週間以内に密使の人選と帝国内での密偵活動を立案して報告しろ!! 出来なければ、くびにして領地を召し上げるぞ!!」
やはり、2馬鹿は2馬鹿のままだった。
脱兎のごとく部屋から出て行った。
まあ、次回でどちらかの領地は召し上げにできるだろう。
そうすれば、少しはこの国も豊かになるはずだ。
はぁーだるい。
いつものように白虎にまたがる。
早くマリーのところへ行って甘えよう。
もう一人の俺も違う意味で賛成している。
膝枕ぐらいはお願いしてもいいだろうか?
俺はお昼寝が必要な年齢なんだから。
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