第9話 お友達候補

■リーブル皇国 皇帝執務室


癒しのマリーは俺の友達候補のマチルダを連れてきた。

一緒に茶を飲むことにする。

当然ながら、マチルダの頭上は黒玉のままだがな。


当たり前だが、俺が話しかけない限り会話は無い。

が、話しかける話題が見つからん。


・・・


「焼き菓子は美味いか?」

「ハイ。美味しゅうございます。」


・・・


「では、もうひとつ食べろ」

「ハイ、頂戴します。」


・・・


「マリー、何か話をしてくれ」

「では陛下。陛下はマチルダのことがお気に入りですか?」


-おっと、イキナリな質問が飛んできたな。


「ウム、気に入っておる」


「マチルダのどこをお気に召しましたか?」


-何だったっけ? ・・・


「あの時、ちゃんと目をそらさずに余を見ておったからじゃ」


「だそうですよ、マチルダ。陛下は大変お優しいお方ですから、お側にいればきっと楽しいですよ」


「はい、光栄に存じます。」


マリーよ、感謝するぞ!


だが、マチルダは黒玉のまま。

そうだよな、そんな簡単には行かないのは判っておるのだ。

何か物で釣ってみるとしよう。


「マチルダは何か欲しいものはないか?あれば余がプレゼントするぞ。」


ん? マリーが余りよい顔をしておらんな?

物で釣るのはいかんのか?


「ありがとうございます、陛下のお言葉だけで充分です」


「そうか、何かあればいつでも言うようにな」


「はい」


物でなければ俺が与えられるのは領地や爵位だが・・・

ん? マリー判った。それも違うのだな。


あとは・・・

そうだ俺には親友が。


「のお、マチルダよ。余の親友の白虎と黒狼だ」

「触りたければ触っても良いのだぞ。白虎の毛並みは絹よりも心地よいぞ。どうだ?」


「それだけはご勘弁ください」


勘弁? 嫌なのか?

ン? マリーなんだその顔はこれもダメだったのか?


他には喜びそうなものは無いし・・・


理不尽な話よ。

この国の全てを持っておるはずなのに。

なぜ、友達を作るのがこうも難しいのか。

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