第10話 フラン共和国
■リーブル皇国 皇帝執務室
マチルダとの楽しい(?)茶会が終わった後にハンスが戻ってきた。
どう考えても5歳児に働かせすぎだ。
「陛下。フラン共和国から書状と荷が届いております。」
「読んできかせよ。」
「先般の援軍の件ですが、金貨5000枚を送るゆえ至急援軍を請うとのことです。」
金貨5000枚ではわが国の赤字には焼け石に水だが、ないよりましだろう。
「前回はどれだけ送ったのだ?」
「騎兵200、歩兵1000です。」
「ならば、今回は近衛騎兵から300だけを送れ。それと出立前に壮行式をやる。余の前に集めよ。」
「かしこまりました。」
「ときにフラン共和国はなぜ、わが国より小麦の取れ高が多いのだ?」
「豊かな国土と旺盛な開拓精神によるものだと思います。」
「旺盛な開拓精神?」
「はい、フラン共和国ではわが国のような領主制は取っておりません。民が自ら土地を耕し、畑をつくればそこはその民の畑となります。」
「ならば、わが国もそうすればよいではないのか?」
「わが国の土地は全て陛下のものですが、領主に管理を委ねておりますので民が耕してよい土地がございません。」
なるほど。
俺の土地だが全て人様任せで自由に出来ないと言うことか。
なんだ、じゃあ領主をくびにすればよいだけではないか。
くびの候補は行列を作っている。
何の問題も無いな。
■リーブル皇国 宮殿前広場
今日はフラン共和国への援軍出立式だ。
不思議なことに軍人の頭は白玉ばかりだ。
まあ、そうだろう。
そうでなければ、既に革命が起こっているであろうからな。
だが、宮殿内と違い白玉をたくさん見れるのはうれしい。
ここは、一発かまして驚かすしかないな。
「皆のもの、良くぞ集まってくれた。大義である」
「余が第18代リーブル皇帝 エリック・フォン・ローエングラムである」
「諸君らの日頃の献身と愛国精神には心から感謝しておる」
「騎兵隊はわが国の誇りであり国の柱である」
「今回のフラン共和国遠征でも諸君らの活躍を信じて疑わぬ」
「だが、ひとつだけ頼みがある。 決して死ぬな! 生きて必ずこの地へ戻れ!!」
「良いな!!」
-ウォーッ、 皇帝陛下万歳!! 皇帝陛下万歳!!-
300人程度でも地声の大きい男ばかりだと、地鳴りのように響く。
5歳児がここまで言ってやれば、やつらのハートは完全に俺のものだな。
見える限りが白玉になった。
きっと死ぬ気で働くことだろう。
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