第8話 5歳児と新しい軍務卿

■リーブル皇国 謁見の間


新しい軍務卿のリカルドが俺に合いたいらしい。

前回の面談から2週間ぐらいなので、期限の1ヶ月よりだいぶ早い。

仕事の速い男は好きだ。


「軍務卿、防衛策の内容を聞かせよ」


「ハッ、恐れながら申し上げます。従来のわが軍は騎馬兵を中心として組織しておりましたが、槍歩兵を中心とする部隊に再編いたします」

「北の帝国も主戦力は騎馬ですので、騎馬での合戦は避け、馬を槍で食い止めることを主眼とします」


「良い案である。その方向で訓練せい。だが、騎馬兵はどうするつもりだ?」


「槍歩兵に再編するつもりです」


「それでは騎馬兵の誇りが失われるのではないか?騎馬兵はプライドが高いのであろうが?」


「仰せの通りです。」


「では、騎馬兵で優秀なものは小隊の指揮官として、槍歩兵を取りまとめさせろ。残りは余に考えがある。当面は余の近衛騎兵とする」


「仰せのままに。」


「それと、槍はできるだけ長いものを揃えるのが良いであろう」


「長いものですね、承知いたしました。」


理由はわからんが、もう一人が槍は長くしろと譲らなかった。


「2週間後に演習を視察する。それまでに兵の練度をあげておけ」


「ありがたき幸せ」


うん、リカルドはそれなりだな。


■リーブル皇国 皇帝執務室


はぁー、今日も疲れた。


軍務卿とあった後は、昼までハンスの書類攻撃だ。

文字は読めんのだが。


今日は全部ハンスに任せた。

税の問題が多かったが、内政は2週間後に内務卿がすばらしい案をだすだろう。

ポンコツの案なら更迭だ。

いずれにせよすばらしい。


昨日からなぜか寂しい。

ママンに会いたい。


ママンとは1年以上会っていない。

病気だそうだ。

死んでいるのかもしれない。


皇帝なのになぜ会えないのか?

やつらの理屈ではママンは俺のものではなく、先王のものだからだそうだ。

先王があわせぬと決めた以上は覆らぬという。


さっぱりわからん。

俺は会いたいだけなのに・・・


マリーを呼ぼう、癒しが必要だ。

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