アタシが甲子園に連れていく! 左腕のエースは、マウンドに立てない紅一点

男子の硬式野球部に入部した、女子投手の奮闘を描く物語です。

女子の野球も徐々にメジャーになってきたとは言え、男子野球部の規定では、女子はグラウンドに入ることすら難しいのが現状。
それでも、主人公・繁村監督の元へやってきたピッチャー・愛琉は、女子ではなく男子の野球部に入部することを強く望みます。

兎にも角にも、愛琉が魅力的です。
類稀な投球センスはもちろん、底抜けの明るさとポジティブ思考で仲間を引っ張ります。
男子部員のやっかみに遭ったり、練習試合前の投球練習にすら他校からクレームを入れられたりと厳しい環境が続いても、彼女は常に前向き。
敬愛する繁村のチームで野球ができることの喜びが、ひしひしと伝わってきました。

最初はバラバラだったチームも、愛琉を中心に結束を強めていきます。
例えピッチャーマウンドに立てなくとも、愛琉は紛れもなくエースです。

作中、愛琉が何度かチームメイトに向かって「アタシを甲子園に連れてって」と口にします。
試合に出られない彼女の言葉の重さが、胸にきます。
でも、むしろ思うのです。
愛琉がいるからこそ、このチームは甲子園を目指せるのだ、と。

愛琉が入部して、3年目の夏。
繁村監督率いる清鵬館宮崎は、甲子園出場の悲願を達成できるでしょうか?
爽やかで胸の熱くなる作品をお探しの方におすすめです!

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