私はボールも想いも、監督にキャッチしてもらいたくてここにいるんです!

 ある高校野球部に、一人の監督がいた。この監督は現役時代、投手と共に名バッテリーとして名をはせたいた。しかし帰りのバスが事故に遭い、監督とバッテリーを組んでいた投手が亡くなってしまう。
 そんな監督が指揮を執る野球部は、気の抜けた部活動をしていた。部員は集まらず、マネージャーも不在。そんな野球部に、突如救世主が現れる。何とそれはブーケンビリアの髪留めをした、美少女だった。しかも、マネージャ―志望ではなく、投手志望だった。それも、「監督に私のボールをキャッチしてもらいたくて」という夢があった。この少女は持ち前の明るさと元気の良さで、次々と部員を勧誘。ついでにマネージャーまで連れてきた。
 少女を中心に部員たちが練習に励み、それぞれの個性と持ち味を生かしたチームへと変化していく。練習試合も組めるようになるが、本番の試合では今一つ。しかも目を付けられるのは少女のほうで……。
 しかし、野球の成績な大会では、女子選手の出場を認めていない。「マウンドは土俵ではない」と監督は怒るが、ルールは代えられなかった。
 試合を重ね、徐々に部員たちが強さを発揮してくる。そんな中、風の強い日に事故は起こった。宿から買い出しに行った少女が、転倒して病院に運ばれたのだ。そして、監督は、少女の病状を聞かされることになる。
 部を作り変え、部員を勧誘し、育成し、盛り上げてきたのは少女だった。監督に憧れて、この部に入ったが、媚びることなく男子と対等に練習に参加した。そんな少女が何故、こんなことに――? 
 果たして、監督の決断は?

 医療ミステリーの名手が描く、青春野球ヒューマンドラマ!
 いつもの硬めの文章から一転し、柔和な文章が読みやすい作品です。

 是非、御一読下さい!

 

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