竪琴の修理屋である老いた男性が主人公。その主人公の元に、壊れた竪琴を持った美しい女性が現れる。主人公はその竪琴を修理して女性に返す。またその女性がやってきて、竪琴の修理を依頼する。この繰り返しだ。
元々主人公夫婦に子供はなく、弟子たちが子供代わりだった。そのため主人公は竪琴造りの技術を弟子たちに伝え、自分は竪琴の修理人として働いていた。
しかし、政変があった。先代の王が亡くなり、その子供が後継者と見なされていたが、王座に就いたのはその子供ではなく、主人公ともつながりのある人物だった。この交代劇が、国の在り方に大きな変化をもたらした。
その一つが、老人を大切にすることだった。一見、良い事のように思えるが、そこには多くの血税が使われていた。現役世代はそこに反発し、徐々にきな臭くなっていく。
果たして妻帯者の主人公の元に現れる美女の正体は?
為政者は何故老人をそこまで大事にしたのか?
主人公を取り巻く人々の想いや主人公自身の想い、そして妻の想いが交錯する。
そして、主人公夫妻が好きだった「あたらよ」が今日もやって来る。
短編ながら、愛に満ちた重厚な作品でした。
是非、御一読ください!