世界観の作り込みが半端なく、凄まじいリアリティで綴られる絶叫昂国日誌シリーズですが、この第6部では特にそれを感じました。
何かというと、政治の動きが。
そもそも農業研修のために南方の州を訪れた麗央那一行。
ひょんなことから、本シリーズ最大のクセモノである天才軍師・除葛姜の政治的策略の中へと、モロに踏み入んでいくことになります。
他人種の出入りする社会の秩序、世相の変化、経済への影響。
麗央那の目に映る状況の全てに、恐ろしいほど説得力がありました。現実の人間社会でも幾度となく起きてきたことが、この異世界でも展開されていくのです。
全方位抜け目なく策を張り巡らす怪物・姜さんに対し、新たな産業を興すことでその横っ腹へ一撃喰らわせようとする麗央那たち。
腹を探り合い、裏をかき合う、見えない力比べのような展開が非常に面白かったです。
シャチ姐や鶴灯くんといった新キャラも魅力的で、ヒューマンドラマとしても言うまでもなく秀逸。
今回ますます人脈を拡げた彼女らが、この先どう世界を漕いで渡っていくのか、先の先まで見届けたいと強く感じた第6部でありました。
また続きを楽しみにお待ちしております。