脈々と継がれる怨念と、命を賭した執念と、未来につながる信念と

悍ましい出産の儀式から始まる本作。鎌倉の地に息づくある一族の禍々しい歴史が、物語の根幹を担っています。

終始緊迫感のある描写で、ページを繰る手が止まらなくなること請け合い。
警察サイドの捜査のシーンはリアリティたっぷりで、故に『呪い』や『怨念』といった人の手の及ばぬものの底知れぬ恐ろしさに説得力がありました。

第2部以降の主人公・加瀬が仕えることになる、三賀警視の存在感が際立っています。切れ者イケメンで、変わり者。
彼の抱える執念が見えてくるにつれ、物語は加速度的に面白さを増していきます。

緩急のある飽きさせない展開。
血の通った、あるいは血が通ってないんじゃないかと思えるほど異常な、個性豊かな登場人物たち。
八百年の呪いが如何にして終幕を迎えるのか、最後まで見逃せません。
結末はぜひあなたの目でお確かめください!

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