獣の国-飯と自然と開拓と、はじめての恋-

「雲のしたの世界は、とても恐ろしい場所だ」と、ひとは口をそろえた。
分厚い雲のしたにあるのは、凶暴な獣たちがはびこる＜獣の国＞。

雲のうえで、つつましくも安全に暮らしていた少年・アオイは、ある日突然、集落ごと獣の国へ落されてしまう。
そこにあったのは、先人たちのいうよう、凶暴な獣たちがはびこる残酷な世界だった。
獣たちの襲撃にあいながら、九死に一生を得るアオイ。優しかった隣人も友も、唯一の肉親である母すら目の前で殺された彼に待っていたのは、生きる気力すら失ってしまうほどの孤独。

獣の国にただひとり残され、死にかけていた彼のまえに、そう齢のかわらない少女・ウルレナがあらわれる。
獣の一匹も存在せず、安全な雲のうえで育ったアオイとは対照的に、ウルレナは獣の国で生まれ育った雲のうえの世界を知ら…続きを読む