マシュラ、連行される
「ハァ、ハァ……どうしよう、このままじゃ風魔くんが!」
「ハァ、ハァ……困ったなぁ……ハァ……オイラはもうだめだよう……」
「私もぉ……ああ、風魔くん!」
……と、そこでモジャラはやっと助けを呼ぶことを思いついた。
体が小さいので脳みそが
「マシュラ! 二人だけじゃ、絶対無理だ! オイラ、助けを呼んでくる!」
「本当だね、二人じゃ無理だね……!」
「マシュラ、そこで待っててくれ!」
モジャラはパタパタと下流に向かって走った。
そこで折よく、川辺の
「あ、ああ夜多郎!」
「おんや、モジャラじゃねぇか。そんなに慌ててどうした?」
「た、大変なことになってるんだ!」
モジャラは唾を飛ばしながら、かくかくしかじかで、と説明した。
夜多郎は真剣な顔で聞いていたが、モジャラが話し終えると大きく首を傾げた。
「そいつはおかしいぞ」
「え、何が…」
「俺はな、ちょうど今、お前たちが探している風魔に呼ばれてかわうその店に行くところなんだよ」
「はい?」
モジャラは驚いて間抜けな声を出した。
「妖川の上流の地下七百メートルに埋まってるのが、本物の風魔だとしたら、俺を呼んだかわうその店にいる奴は誰だ? まさかお化けじゃねぇだろう」
「いや、風魔はお化けですが」
「冗談だよ、そこは笑えや……。というか、そもそもマシュラの魔法を信じるというのはどうなんだ?」
モジャラは、その一言にグワンと来た。
頭に一発キツイのを喰らったかのように、グワンと来たのだ。
「お、恐れ入りました……」
全身の力が抜けてしまって、モジャラはヘナヘナとその場に座り込んだまま動けなくなった。
「お、おい、大丈夫か?」
それから十分後、モジャラとマシュラは夜多郎に背負ってもらい、かわうその店へと向かっていた。
穴掘り騒動のうちに、あやかし村の夜はとっぷりと暮れていた。どこかでフクロウが鳴いている。
……と、「あ、ふ、フクロウ……! 夜多ちゃん、降ろして!」と、マシュラがにわかに慌て始めた。
「フクロウがどうしたんだよ?」
「先生よ! 私の学校の! 逃げなきゃっ……!」
「あちゃー」
夜多郎とモジャラが見ていると、マシュラは二メートルも先へ行かないうちに、近くの
先生の顔は、夜目にもわかるほど真っ赤になっていた。
「ミス・ヨルレアン!」
「は、はひー」
「あなたは何度言ったら、規則を守るようになるのですかっっ?!」
「も、申し訳ございませぇん……」
「罰則です!あなたのお父様にもこのことを報告します」
「あああ、それだけはああ……」
マシュラはしばらくジタバタしていたが、結局先生から逃れる事は出来ず、先生の箒にぶら下がった鳥かごのような物に入れられて、夜空へ飛んで行った。
「助けてーーーーーーーっ!!!」
夜多郎とモジャラは何も言わずにそれを見送っていた。
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