エリザベス一世統治下イギリス。貴族劇作家と元靴職人徒弟の男娼身分差BL
【あらすじ】
時はエリザベス一世治世下のイギリス。
ロンドンでは演劇が目覚ましい発展をとげていたが、女性が舞台に立つ事は許されず、少年が女役を演じていた。
初代イングランド王時代から続く名門、ヘッドヴァン伯爵家の次男でありながら父に反発し、劇作家としての成功を目指すジャンは、パトロンが用意した少年を辞めさせてしまい、新たな女役を見つけるため、美しい少年達がいると噂の娼館アポロンに出向く。
一方、失踪した父ジャックに変わり、母マリアと妹ソフィのため、父の親友ジョージ親方の元、靴職人の徒弟として働いていたロイは、悪徳高利貸しに騙された父の借金を背負い、アポロンに売られていた。
二人は運命的な出会いを果たし、ジャンは一目で、ロイを自らの戯曲アリアンのヒロインにすると決める。
同じ劇作家仲間で親友のトーマスや、ジャンが座付きの劇作家をしているオーク座の俳優達、オーク座のオーナー兼ジャンのパトロン、エドワード伯爵には大反対されたが、ジャンは、ロイにつきっきりで演技指導をし、共に過ごすうちに、二人は強く惹かれあっていく。
しかし、ジャンの兄アランが亡くなった事で、ジャンの運命は大きく変わる。
ジャンの父フランシスは、宮廷の最高権力者で女王の側近、ロバートセシルとの結びつきを更に強めるため、アランとロバートの娘キャサリンとの婚約を進めていたが、今度は次男のジャンを意のままにしようと目論む。
劇作家を辞めさせ、ヘッドヴァン家にジャンを戻すためにフランシスがとった方法は、4ヵ月前にセシルとの政争に敗れ処刑されたエセックス伯の反乱を利用したもの。演劇を通し、かつて親しくエセックス伯と交流していたエドワード伯爵に、反乱に加担していた罪を被せ逮捕し、オーク座を閉鎖に追い込んだのだ。
父の妨害に、ジャンは起死回生を図る。
女王の行幸をヘッドヴァン家にするよう仕向けた父の策略を逆手に取り、ジャンはエドワード伯爵の釈放とオーク座の再開を女王に嘆願するため自ら家に戻った。
ジャンは捨て身の賭けで女王に近づき、女王は、ジャンの作った戯曲を気に入ったら、ジャンの願いを聞き入れてやると条件を出す。
オーク座の俳優達は、御前公演を行えるというジャンからの知らせに歓喜したが、フランシスは、市民に圧倒的な人気を誇るシェイクスピアの劇団、宮内大臣一座を利用し、アリアンの相手役であるエリックを降板させてしまう。
このままでは御前公演を行えないと、絶望に打ちひしがれるジャンだったが、久々に再会した愛するロイに、素人だった自分をここまで育て、学生時代俳優もしていた貴方なら、きっと代役ができるはずだと説得される。その言葉通り、見事に窮地を脱したオーク座は、女王陛下の庇護を受け、名門劇団の仲間入りを果たすのだ。
数々の困難を乗り越えたジャンとロイは、互いへの愛を抑えられなくなり、周囲に関係を隠しながらも深く結ばれ永遠の愛を誓う。