刹那の楽園

作者 安藤唯

43

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★★★ Excellent!!!

人間の持つ情念や愛、憎しみ、策略……。
そんな人間の美しい部分も醜い部分も、あらゆる「人間らしさ」がこの作品には詰まっています。

勿論、BL作品としての「萌え」もふんだんに散りばめられていたり、ストーリーがドラマチックで盛り上がるのですが、何より純文学的な文章表現の美しさが光る作品だなと思いました。

また、エリザベス一世の治世について、時代考証が入念になされ、文化的政治的な当時の大英帝国という国が、まるで目の前に広がっているような感覚を覚えました。「凄い」という形容しか出来ない自分の語彙力のなさが悔やまれます(^-^;

読み応え抜群の本作を、ぜひ、皆さまもお読みください。

★★★ Excellent!!!

素晴らしいレビューが既にいくつも添えられていますので、私が書けることは多くはありません。

付け加えるとするならば、こちらは『BL』と謳われていますがBL門外漢の私でもとても楽しく読めたことでしょうか。というよりは、そこだけに気を取られて食わず嫌いで読まないのはあまりに勿体無い作品です。メインとなる恋愛以外にも劇中劇、愛するが故の心の闇、政治的駆け引き、親子の愛憎、友情……。挙げればきりがないほどの人間ドラマが詰まっています。
また、カタカナや西洋史が得意ではない私でも、説明臭くならずに分かりやすくまとめられているので違和感なくその世界観に浸ることができました。

密度の濃いエピソードが後半これでもかというほど畳みかけられてきて、何度もどんでん返しを喰らったような気持ちにさせられます。最後まで一気に読ませてしまう魅力に溢れた作品です。潤いが足りないとお悩みの方、ぜひご一読を♡ 胸キュンでうるうるしてくること、請け合いです✨

★★★ Excellent!!!


エリザベス一世統治下のイギリスで、貴族出のジャンと庶民出のロイは出会う。
それぞれの身分故のしがらみ、苦悩を乗り越えて、二人は「演劇」という一つのツールを通して気持ちを通わせ、信頼しあっていきます。

これはまさしく「ベルばら」のような世界。
愛憎劇や陰謀が飛び交う中で二人は舞台に立つことが出来るのか?
そして、お互いを思いやるが故に苦悩する、相手への想い。

読み始めたら止まりません。あっという間に当時のロンドンの町に自分が迷い込んだような錯覚になります。
丁寧な描写だけでなく、心理描写も秀悦です。

ちなみに私のお勧めは、わき役陣の濃さ。
主役級の二人はもちろん魅力的ですが、それ以上にわきを固めているキャラがいい仕事しています。そこもご注目頂けると、数倍楽しめると思います。

★★★ Excellent!!!

 エリザベス1世統治下のイギリスと聞くだけで胸が躍る人もいるかもしれません。演劇に魅せられ演劇に人生を捧げた貴族の男と数奇な運命を背負った少年との身分違いの秘めた恋の物語です。
 運命的な出会いにもかかわらず、その時代の男同士という禁断の愛に翻弄される主人公たちと、舞台演劇と言う世界を絡めてドラマチックに展開して行く物語に心が震えます。肉親との愛憎、熱い友情、人間の愚かさ醜さ悲しさ、そして愛と夢。それらが全部詰まった極上の物語です!

★★★ Excellent!!!

物語の舞台となる時代背景や、エリザベス女王と貴族たちを取り巻く政治情勢など、重くなりすぎず、噛み砕いて語られており、とても読みやすく世界観に入っていけます。登場人物たちの会話のやり取りも親しみやすく、主人公ジャンのほか、身分の違う何人かの視点で語られるので、どの階層にも感情移入できて多角的な視点で物語を楽しめます。

同性愛は御法度という時代の縛りの中、演劇への情熱を軸に、ジャンとロイの純愛が少しずつ進みます。二人はともに家族への葛藤というテーマを抱えますが、唯さまが描くそれは切なく、そして強くて、それを芯として動く彼らには魂があって、私はそこに強く惹かれます…。

シェークスピアの時代の演劇界の一端をぜひ味わってください!!