手芸男子の不器用な恋模様が芸術的に面白い物語

もちろんこの物語のキーポイントは主人公の然太郎が手芸男子であるという事です。

片田舎で手芸店を営む然太郎は、どっから見てもイケメンなハーフの美男子。
しかしながら外見とは裏腹に、手芸を愛し、小物作りも得意な器用な男性です。
もちろんミシンもお手の物、街のオバチャンたちにも愛される好青年です。

そんな彼の店にふらりと現れたのが、ちょっと年上のマリーさん。
マリーさんはどこにでもいるようなごくごく普通のお姉さん。

この二人が出会い、なんともじれったい課程をふみつつ、恋人同士にならんとしています。
このなりそうでならない、いや、すでになっている、という微妙な距離感がなんとも面白い物語です。

それだけではありきたりの恋の物語になりそうなところですが、ここが作者のすごいところ。
見事に楽しくこじれています。
その二人の楽しい雰囲気をつなぐのが手芸店での様子であり、二人で食べる和菓子になっているという、これもまたずいぶん凝った仕掛けがあります。

物語はとにかく読みやすく、二人の視点で交互にストーリーが進みます。
然太郎の自分でも混乱している積極性、マリーさんの自虐っぷり、どちらもリアルでコミカルで本当に面白い。
どちらの視点も語り口の軽やかさがまた素晴らしく、物語にすごく引き込まれます。

とにかく面白い物語です。
連載中なのでぜひ、今から連載を楽しんで欲しい、そんな作品です!

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