手芸店『スミスミシン』。
いや、こんなお店が私の町にあればいいな、とおもいます。
気軽に立ち寄れて、飾ってある手芸商品はどれも、「あ。これなら私も作れそう」っていう作品で。お値段も手頃で、じっくり布を吟味したいときは、ウルサイ接客もない。
そしてなにより、店主が『話しかけやすそう』。これが大切です。
……うん。まぁ、あれかな。
その場合、この『スミスミシン』は、ちょっとハードル高いかも……。
なにしろ、店長の然太郎は青い目のハーフでイケメン(ただし、外国語は話せません)。
ですが、そこを怖れず声をかければ、あっという間に彼の内面の良さ。乙女さ。可愛さにやられること間違いなしです。
そう、彼の恋人マリーさん(非常に標準的な日本人女性)のように。
この物語は、然太郎とマリーさんの心模様を軸に、東北の和菓子を知ることが出来たり、お仕事女子の恋愛に胸をときめかせたり、なにげない日常にほっこりしたり。
そんな風に進んでいき、読後、本当に心地よいです。
今、新型コロナウイルスの影響で手作りマスクや、お家で出来る系の趣味に需要があるとか。
いまこそ、『スミスミシン』が、うちの町にも欲しい。
地方にある手芸店。店主はイケメンハーフの手芸男子然太郎。そこへ、ふらりとやって来た女性マリーさん。マリーという名前だが、彼女、日本人形張りの和美人なのである。そんな二人が出会って恋をして……という本作。
軽快に、そして暴走気味な語り展開。笑いあり、ニヤニヤあり、突然のモテ期到来に唖然とするマリーさんに、彼女を溺愛しすぎて自信喪失する然太郎のヘタレぷりからのイケメンパワー。
自称モテ男の登場に、困った親子や嫌味な女性陣、おバカ高校生に世話好きマダムたちなど、個性ありありのキャラクターたちに囲まれながら、二人は距離を縮めていく……ようでそうでもないようで、やっぱり距離を縮めていく。
でこぼこカップルに見えて、相性ぴったりの二人を甘い和菓子片手に堪能しましょう。さらさらっとあっという間に読める長編です。巣ごもりのお供にぜひ。
マリーと然太郎。片や純日本人、片や欧米人とのハーフである二人の物語。
なんて書くと勘違いするかもしれませんが、マリーが純日本人で、顔も日本人形みたいな和顔。然太郎が欧米人とのハーフで、さらに言うとイケメンです。
名前と見た目がちぐはぐな二人ですが、共通しているのは恋愛スキルの乏しさ。ただしマリーはモテなさすぎて、然太郎はモテすぎてと言うのが理由ですが。
そんな二人が恋愛するのですから、スマートにいくはずがありません。自分なんかじゃ釣り合わないとネガティブ思考になるマリーと、どうやってアプローチしようかと大いに悩む然太郎、それぞれの心の内がとてもコミカル。読者としては、いいからとっととラブラブしてなさいと、生暖かい目で見ずにはいられません。
不器用な二人の恋がどんな形で進んでいくのか、興味のある方は、ぜひニヤニヤしながら読み進めていってください。
手芸店を営む、イケメンハーフ男子の然太郎と、名前に反して純日本人の矢作マリー。
良き友達の二人ですけど、ファンがお店にやって来るくらいのイケメン然太郎と違って、マリーは地味顔。身の程をわきまえて、恋愛感情を抱かないようにしていたのですが……。
然太郎、マリーさんのことを好きすぎます!
マリーさんの低い自己評価とは裏腹に、彼女のことを溺愛してるのです。
お店に来る女性にどんなにアプローチされても、全くなびくことはありません。そんなことよりマリーさんと一緒に和菓子を食べることの方がずっと大事。
溺愛ものが好きな人ならきっと気に入るゾッコンぶりなのです。
そんな風にとっても愛されているマリーさんですけど、どうして自分なのかと困惑しちゃって。だけどそんな二人の噛み合わない二人の想いが、絶妙な面白さを作っているのですよ。
焦れったい。両想いなんだから、遠慮せずにイチャついちゃえ!
何度もそう叫びたくなるようなお話。
手芸をテーマとした、和菓子のように甘々でキュンとするお話です!
もちろんこの物語のキーポイントは主人公の然太郎が手芸男子であるという事です。
片田舎で手芸店を営む然太郎は、どっから見てもイケメンなハーフの美男子。
しかしながら外見とは裏腹に、手芸を愛し、小物作りも得意な器用な男性です。
もちろんミシンもお手の物、街のオバチャンたちにも愛される好青年です。
そんな彼の店にふらりと現れたのが、ちょっと年上のマリーさん。
マリーさんはどこにでもいるようなごくごく普通のお姉さん。
この二人が出会い、なんともじれったい課程をふみつつ、恋人同士にならんとしています。
このなりそうでならない、いや、すでになっている、という微妙な距離感がなんとも面白い物語です。
それだけではありきたりの恋の物語になりそうなところですが、ここが作者のすごいところ。
見事に楽しくこじれています。
その二人の楽しい雰囲気をつなぐのが手芸店での様子であり、二人で食べる和菓子になっているという、これもまたずいぶん凝った仕掛けがあります。
物語はとにかく読みやすく、二人の視点で交互にストーリーが進みます。
然太郎の自分でも混乱している積極性、マリーさんの自虐っぷり、どちらもリアルでコミカルで本当に面白い。
どちらの視点も語り口の軽やかさがまた素晴らしく、物語にすごく引き込まれます。
とにかく面白い物語です。
連載中なのでぜひ、今から連載を楽しんで欲しい、そんな作品です!