第16話 番外編 当選した書籍の紹介 その2

 鈴木るりか『さよなら、田中さん』(小学館)


 以前、「『さよなら、田中さん』を読んで100字感想文を書こうキャンペーン」というものがありました。そのキャンペーンでこの書籍を知りました。公式サイトでは一部無料公開が行われていて、読んでみると好みだったため、書籍を購入して全部読みました。

 使用してしまったので今は手元にありませんが、キャンペーンの結果、本の表紙がデザインされた特製の図書カードをいただけて嬉しかったです。


 内容は、貧乏な家庭で生活している小学六年生の田中さんが、いろいろなことに悩みながらも、前向きに生きていくという内容です。全五編の、連作短編集です。


 読みながら、自分が小学六年生だった頃を振り返りました(キャンペーンの感想にも、このようなことを書きました)。境遇は異なるものの、田中さんや彼女の同級生のように、生きることに精一杯だったことは共通していると感じました。


 最終章の話が特に好きです。ちなみに、サイトで無料公開されている部分です。

 この章では物語の語り手は、主人公の田中さんではありません。しかし、私にとって、とても感情移入しやすい人物でした。

 様々な場で触れられているようなのでネタバレをしますが、この章に出てくる台詞に、「もし死にたいくらい悲しいことがあったら、とりあえずメシを食え」というものがあります。この台詞が出てくるまでの過程と合わせて考えると、とても響きました。大好きな言葉です。

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