グロテスクさを想起させる結末さえも美しく。

「力の1号、技の2号」って言葉がありますが、この文章は力も技も持ち合わせています。
よく馴染みのある世界観なはずなのに、牙を剥くように見え隠れする異質さが文章の力で大人しく鳴りを潜める。おどろおどろしいはずの異形すら文章の技で玉のように飾り付ける。
読み応えがある、そんな言葉がぴったりの短編小説です。面白いと評するよりも、巧いと手を叩きたくなりました。

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