涙すら花弁に変わる、美しくも悲しい物語

死とは静止。冷たい滅びとされます。
けれどこの物語の中で雛牡丹は、その最期を百花繚乱の春で飾りました。
夜を経て朝になり、眠りを経て目覚め、死を経て生まれ、滅び再生する。
才の道を極めた女性の咲かす華は、その種子を側仕えの胸中に与えて春を巡らせる。
自分程度の拙い語彙ではいくら言葉を重ねても到底あらわせない、本当に美しい物語です。
魂を尽くして彼女が咲かせた華をどうか、その目でご覧下さい。

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