結局、人間は自分が可愛い。でも、時には傷つけたくなる。だから–––––

描写力に思わず唸ってしまう、そんな作品だ。

心情描写がとても好きだ。
抽象的な表現と直接的な表現のバランスと混ざり方が絶妙だ。
「気持ちいい」というそのまま心情を表す言葉を使う。
例えば、と例示を提示する。
これらをうまく組み合わせて、自分だけの世界観を創りあげている。
読んでいるこっちはその世界を眺めているだけ。それだけなのに、深く心に残り、描写が印象に残る。

リアルな描写がこの作品の特徴だと思う。
『空想』だけど、『リアル』。
この一種の矛盾が、この作品の独特的な雰囲気を醸し出しているんだと思う。

世界に呑み込まれる、そんな作品だ。

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