描写力に思わず唸ってしまう、そんな作品だ。
心情描写がとても好きだ。
抽象的な表現と直接的な表現のバランスと混ざり方が絶妙だ。
「気持ちいい」というそのまま心情を表す言葉を使う。
例えば、と例示を提示する。
これらをうまく組み合わせて、自分だけの世界観を創りあげている。
読んでいるこっちはその世界を眺めているだけ。それだけなのに、深く心に残り、描写が印象に残る。
リアルな描写がこの作品の特徴だと思う。
『空想』だけど、『リアル』。
この一種の矛盾が、この作品の独特的な雰囲気を醸し出しているんだと思う。
世界に呑み込まれる、そんな作品だ。
これは私のことじゃあないか!!
読んだ瞬間、顔が赤くなるのを感じた。
目の前で繰り返される、空想自傷。
こんな完璧なまでに自分自身が考えたことが文章化されて、他人の本棚に眠っているだなんてことがあるだろうか。
まるでこの作者は、私の頭を覗き見たように、事細かに、描写しているっ!
そう思わざるを得ないほどに写実的な心理描写が、光っては翻って、私の皮膚に浸透していく。
まるで、作者そのものが文字になって、私の中に入ってくるよう。
そうして私に吸収された作者は、私の頭の片隅に居場所を創る。
きっとまた、私が言語化するより早く、私の気持ちと想像を、一字一句間違えることなく創造する。
なんという気持ちなのだろう。
嬉しい? 恥ずかしい? 悲しい? 楽しい?
——絶対共鳴。
私はこの気持ちにそう名前を付けた。