死と狂気はあらゆるものを魅惑的にする。血と官能はつがいの獣。

まさに「死と狂気はあらゆるものを魅惑的にする」を体現した描写でそそられました。
空想と現実の境界線は常にせめぎあっていて、ODや軽い自傷から始まって、じょじょにかつて空想だったことが現実を侵食してゆきます。浸食されてみると、それは予想以上に抜けられない沼ということがわかってきます。

本作品は境界線がまだ社会の良識の枠内におさまっている話ですが、空想は熟した果実のように甘美な匂いを漂わせており、それが見事に描写されていてよかったです。

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