蒸気都市逢坂。闇に蔓延る怪夷を狩りし乙女に刮目せよ! 夜桜 恭夜
時は19世紀末。鳴治の時世。
鎖国をせず、英国との貿易が盛んだった日ノ本は、江戸を中心に蒸気大国としての地位を確立していた。
しかし、1868年。×月×日。世界同時多発的に発生した大災厄により、江戸は壊滅の憂き目に遭う。
江戸の街は一夜にして屍の街と化し、江戸の地を中心に沸き出すように現れた異形、『怪夷(かいい)』により、日ノ本は未曾有の混乱へと陥った。
時の帝は怪夷を鎮めるため、古来よりの術士達を集め、防衛軍を整備。京の都を『帝都』と改めて首都とし、更に大阪を『逢坂(おうさか)』と改めて国の防衛拠点として新たな政府を設立して対応した。
帝により結成された防衛軍、怪夷討伐軍により、怪夷による混乱は10年程で収まり、人々は街に結界を張り、怪夷と戦うために忘れ去られていた術式を身につけ、以前と変わらぬ生活を取り戻して行った。
だが、怪夷による脅威はなくなることなかった。
帝都を護るための最重要防衛都市としての役割を担いながら、蒸気産業と観光業、商業の大都市として発展し始めていた逢坂は、市中に現れる怪夷を討伐する為の職業を整備する。
大災厄が起こってから十五年後。
逢坂の街に、二人のうら若き乙女がいた。
怪夷を唯一滅する事が出来る聖剣『神刀三日月』を振るう、九頭竜莉桜。
巧みな戦術と呪符を操る戦略家、秋津川雪那。
故郷の里を何者かによって滅ぼされた莉桜は幼馴染の雪那と共にある目的を胸に抱き、仲間達と共に昼は旅人の案内をする『案内人』、夜は市中に蔓延る怪夷を狩る政府公認の裏稼業『執行人』として、逢坂の街を駆け抜けていく。
歴史改変×和風スチームパンク×ダークファンタジーここに開幕!
乙女達の生き様を須らく見よ。
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illustration by 野天初風様 ※無断転載禁止※
更新日:毎週火曜日、土曜日、20時頃。…続きを読む
目次
完結済 全78話
更新
- 黎明編
- 序
- 第一章 黄昏の都市『逢坂』
- 第一話
- 第二話
- 第三話
- 第四話
- 第二章 案内人と執行人
- 第五話
- 第六話
- 第七話
- 第八話
- 第九話
- 第三章 専属用心棒
- 第十話
- 第十一話
- 第十二話
- 第十三話
- 第四章 東雲雨と魚住猛
- 第十四話
- 第十五話
- 第十六話
- 第十七話
- 第十八話
- 第十九話
- 追想編
- 第五章ー決意と旅立ちと
- 第二十話
- 第二十一話
- 第二十二話
- 第二十三話
- 第六章ー執行人資格試験
- 第二十四話
- 第二十五話
- 第二十六話
- 第二十七話
- 第二十八話
- 辻斬り事件編
- 第七章ー執行人辻斬り事件勃発
- 第二十九話
- 第三十話
- 第三十一話
- 第三十二話
- 第八章ー嵐の前触れ
- 第三十三話
- 第三十四話
- 第三十五話
- 第三十六話
- 第九章ー聖剣の行方
- 第三十七話
- 第三十八話
- 第三十九話
- 第四十話
- 第四十一話
- 第十章ー辻斬り捕り物帖
- 第四十二話
- 第四十三話
- 第四十四話
- 第四十五話
- 第四十六話
- 第四十七話
- 第四十八話
- 逢坂炎上編
- 第十一章ーBehind
- 第四十九話
- 第五十話
- 第五十一話
- 第五十二話
- 第五十三話
- 第五十四話
- 第五十五話
- 第十二章ー逢坂炎上
- 第五十六話
- 第五十七話
- 第五十八話
- 第五十九話
- 第六十話
- 第六十一話
- 決戦編
- 第十三章ー陰の巫女、失われた刃の秘密
- 第六十二話
- 第六十三話
- 第六十四話
- 第六十五話
- 第六十六話
- 第十四章ー希望が生まれた地へ
- 第六十七話
- 第六十八話
- 第六十九話
- 第七十話
- 第七十一話
- 最終章ー夜明けを迎える為に
- 第七十二話
- 第七十三話
- 第七十四話
- 第七十五話
- 最終話
- 結
おすすめレビュー
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★★★ Excellent!!!
黄昏の街を美しい文章と共に見てみよう。 夏頼
19世紀末の蒸気大国の日ノ本を舞台にした『逢坂怪夷奇譚』の面白い点は、まずはその世界観だ。開国していた日ノ本は怪異による襲撃と荒廃のため、京を帝都にし、逢坂(大阪)をその防衛都市として位置づけた。その逢坂は黄昏時を境に人の街から怪異が跋扈する街へと変貌し、執行人たちが怪異を屠っていく…。時代の設定、梅田駅の蒸気機関車の描写にみられる落ち着いた美しいスチームパンク、情報屋、濃い霧に包まれた逢坂、そして外国からの旅行者たち。これらの単語の羅列だけで心が躍る読者は多いと思う。
勿論、登場人物の魅力もだ。九頭竜莉桜の立ち回りのかっこよさ、その仲間たちとの絆などは実際に読んで楽しんで欲しいが、特にスペインからの来日者、悠生・フェルディナンド・カルーノと莉桜の魅力をこのレビューでは紹介したい。名の通り日ノ本の血も交じっている彼は十数年ぶりに郷里の地を踏んだ。彼の目を通して見る逢坂の街の風景はとても美しい。悠生と莉桜との日常の会話や所作からは微笑ましく、暖かい感触を受けることだろう。例として早朝の宿で、起き抜けの悠生に対して朝市を案内すると言う莉桜の、その後の会話を抜粋する。
「案内してもらえますか?案内人さん」
「任しとき」
満面の笑みで応じると、莉桜は桶に溜まった水に手を入れて顔を洗った。
「ひゃあ、冷やっこい」
たった四行の描写で、悠生にとって朝市という異国情緒あふれるイメ…
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