詩吟を紡ぐかのように語られる物語

青年は幼き時に父と、そして今、年若き妹と家族になる。

『死の風』。

ひとつの村の命を一瞬にして奪い去った風が、唯一奪い損ねた命。

銀髪に青き眼。人とは違う容姿を持つ彼女が生き残ったことになにか意味はあるのか?


そして、彼らが生きる場所より南に遠く離れた地で、繰り広げられようとしている戦。
この戦に秘められた意思はなにか?

血の繋がらぬ兄妹は、周囲に起こる異変に抗いつつ、この戦に関わりをもつのか?


まるで詩吟を紡ぐかのような、表現で語られるこの物語は、いくつもの謎を内包しつつ、静かにだが確実に読者をその世界へと導いて行く。

ライトでポップなファンタジーはちょっと、と言う方にお薦めしたい良作。
是非御一読を。

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