銀の風、竜の瞳。

作者 umi

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★★★ Excellent!!!

 物語のスタートからドラマチックな展開で、醸し出される空気感がこの世界の説明になっているという、情景描写の妙。
 
 魅力的かつ、深みと個性のある登場人物は、誰一人と脇役ではなく、この世界のそれぞれの主人公であり、退場のたびに心痛みます。だが、戦いに勝敗がある限り、生き残る者と死する者があるのはやむを得ない事でもあり。歯を食いしばって前を進む登場人物と共に、読者もこの世界を歩む事になります。

 とにかく、文章力が高く、情景が目の前に浮かぶだけでなく、風の香りや音すらも聞こえて来るかのよう。こんな臨場感のある文章は稀有ではないかと。
 戦闘シーンでは、それまで聞こえていたはずの環境音が聞こえなくなり、息をするのも忘れて、その戦いに見入ってしまうほど。
 登場人物がほっと息をついたとき、同時に自分の耳に音が戻った時は、身震いをするほどでした。

 主人公二人の旅と、軍パートという二本軸で、世界が大きく変動し、同時に、過去にこの世界が構築された出来事の事を、まるで自分が知っていた事を思い出すように想像できていく構成力の高さも素晴らしいです。世界設定を、教えられるのではなく、感じるように理解できます。

 重厚かつ力強いこの物語ですが、それは読んでいて緊張するシーンが連続するという事でもあり、完結してからの一気読みより、ぜひ連載中の今の段階から、じっくりと読み進めて行く事をお勧めしたいです。

★★★ Excellent!!!

青年は幼き時に父と、そして今、年若き妹と家族になる。

『死の風』。

ひとつの村の命を一瞬にして奪い去った風が、唯一奪い損ねた命。

銀髪に青き眼。人とは違う容姿を持つ彼女が生き残ったことになにか意味はあるのか?


そして、彼らが生きる場所より南に遠く離れた地で、繰り広げられようとしている戦。
この戦に秘められた意思はなにか?

血の繋がらぬ兄妹は、周囲に起こる異変に抗いつつ、この戦に関わりをもつのか?


まるで詩吟を紡ぐかのような、表現で語られるこの物語は、いくつもの謎を内包しつつ、静かにだが確実に読者をその世界へと導いて行く。

ライトでポップなファンタジーはちょっと、と言う方にお薦めしたい良作。
是非御一読を。

★★★ Excellent!!!

読み始めた時、「水滸伝」を思い出した。
子供の頃に読んで、作者の名前は思い出せないけれど、ざくり、ざくりと噛み切るように短く、力強い文章には自分の文章も影響を受けた(とは言え、自分のはせいぜい隅を齧った程度のものだけれど)。

読み進める内に、全身の血が熱を帯びた。次第が沸騰して、最後は心臓がのたうち回る程に嫉妬した。

この物語は、ただ文章が上手いだけじゃない。ストーリーそのものが、面白い。「個人」と「軍(国)」の二つの軸が、「伝説」によって一つに寄り合わされていくのを追っていくのに、自分はとてもワクワクした。そう、年甲斐も無くワクワクしたのである。

そうだ、読書ってこんなに面白かったんだ。
この作品は思い出させてくれた。
この言い回しが通じるかは分からないが、今の物語業界についていけない人は、絶対に読んだ方がいい。て言うか、読め。以上。

★★★ Excellent!!!

ゆっくりと読み進めさせていただいておりました。
本作は何人かの登場人物を軸に、それぞれの立場、状況に応じたいくつかの物語が展開されるという、少し変則的な進行を見せます。
特筆すべきは、会話文の少なさであると私は思います。昨今の小説作品によく見られる会話を中心とした軽快なやり取りは、本作においてはあまり見られません(ウィットに富んだ、ふいにニヤリとさせられる会話も時折見せてくれます)。代わりに、力強い文体で、鮮明に、今そこで何が起こっているのかを丁寧に描写し、しかし読む側にとってストレスとならない流れでそれが展開されるため、読み進める行為が止まることはありません。
基本的に渋い登場人物たちがこれまた渋く動き回るので、少々のとっつきにくさのような部分はあるかも知れませんが、銘打たれる通り、ハードボイルドに偽りなし。と、感じました。
続きも、ゆっくりと拝読させていただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

壮大な世界観や手に汗握る戦の描写など、特徴的な部分は数多くあるのですが、特に興味を惹かれたのは登場人物たちの描写です。

登場人物たちの存在感がとにかく強い。
行動、考え方、感情。
そのキャラクターの背景に本物の過去が横たわっているかのようです。
その場面を流すためだけに作られた登場人物というものを感じず、それぞれの人が生きている気配があり、登場人物ごとにスピンオフ作品ができていてもおかしくない感じがします。

ご覧になる方は、物語はもちろん、ぜひ人物にも焦点を当てて読んでほしいです。

★★★ Excellent!!!

いやぁ。しょぼんさんはおっさんなので、こういった本格派な物語は、懐かしさを感じつつも、非常に素敵だと思って読ませていただきました。

青の国と赤の国が並び立つ世界。
青の国に住むレオンは、とある村の様子を見にいった際、一人の記憶喪失の少女を助け出す。

少女にリオーネの名を与え、妹として共に暮らし始めた頃。
突如として動き出す、赤の国の侵攻。
そして、リオーネを狙うかのように現れし人外なる獣。

まるで何かを暗示させるかのように、風雲急を告げる中。
レオンは。レオンの父は。リオーネは。
それぞれ運命に揉まれるように。その波に揉まれていく。

……と、ちょっと作者様風にあらすじだててみましたが。(似てないしうまくない)
この作品は、作者様が大河ファンタジーと銘打つだけあり、重厚で本格派なスタイルの、戦記ものもあるファンタジー作品です。

レオンの父が巻き込まれていく戦記物らしい青の国と赤の国の戦。
レオンとリオーネが巻き込まれていく、ファンタジーらしい怪しき獣との死闘。

このふたつを同時に楽しめるというのも面白さのポイントですが、やはり見どころは、その硬派さ。

萌えとか、ラブコメとか、いわゆるバトル系ではないその物語は、本当に古き良きファンタジー小説のような重厚さを見せながら展開していきますが。
それを作者さんの表現力が、よりしっかりと世界に色をもたせているんですね。

勿論、世界に伝わる伝承。それぞれが巻き込まれた戦いの根底にある謎。
そういった要素もあり、この先どうなるかも目が離せない作品です。

ライトノベルとは異なる本格派。
ですが、そういうった重厚なる世界が好きなあなたに是非おすすめしたい作品です!!

★★★ Excellent!!!

この作品は、まず文章がかっこいいです。
端的な文章なのに、周りの情景や登場人物の心情、行動、様子がはっきりと目に浮かび、美しい絵に描かれた風景がアニメのように動いているかのように感じます。
繊細な描写にしびれる……!
また、その登場人物たちも魅力に溢れていて、文章に引けを取らないくらいかっこいい。
そして何より、ストーリーの見せ方が上手い!一話一話に、登場人物の魅力がこれでもかと凝縮されています!
もう一つ言うと、戦闘シーンの緊張感が、この文章と合いまくっている……!
全てがこの作品の魅力として絡み合い、圧倒的な完成度を誇ります。
これこそハードボイルド・ファンタジー!

ぜひとも読んでほしい作品です!!!




★★★ Excellent!!!

 軍記物語や叙事詩のような雰囲気。淡々としながらも力強い描写に、気がつくと引き込まれてしまいます。
 特に、危機的状況の描写が秀逸。闇の奥に何かが潜んでいる緊張感……得体の知れない何かが迫っている気配……突然に強襲する正体不明の敵……そういったシーンでの緊張感と臨場感がたまりません。

★★★ Excellent!!!

繊細に描写されたファンタジー作品!
他のレビューでも書いてある通り、戦記物とされてますが、内容は言わずもかな、面白いです!

他のレビューとは違うスパイスという意味で、ちょっと違う内容で話していこうと思います!

物語のメインともいえるひょんなことから出会う銀色の少女が私の作品に出てくるキャラと一緒の姿で、とてもドキッとしながらも、やはり銀髪少女は最強ですし、可愛いんですよね!

そして、無口で何もわからないところから、やはり環境なのか、その成長過程も楽しめて、個人的にはとても大好物な描写が多かったように思えます!

とても丁寧に描かれていて、それでいて行間なども意識しているのか、とても読みやすいです!
是非、ご覧あれ!

★★★ Excellent!!!

「ファンタジー」であり「戦記」であり「ハードボイルド」である。

「ハードボイルド」と謳うように、文章には無駄な心理描写は無い。

しかし、重ねられるその無駄の無い文章を読んでいくうちに、繰り広げられる情景と登場人物の心理が、読む者の心に鮮やかに浮かんでくるのである。

素晴らしい。

お薦めの作品です。ぜひ読んで下さい。

★★★ Excellent!!!

やや硬めの文章と世界観の雰囲気がすごくマッチしているのとそれぞれの固有名詞に振られたルビがすっごくかっこいいのです。

そして美しい情景が目に浮かぶような繊細な描写がまた良い…………!

それでもって、深く練られた設定が文章の端端に見えていて素晴らしいのです!

皆様も是非ご一読くださいませ!
ハマって抜けられなくなることを保証します!