罵論≪バロン≫

不思議な読了感であった。 情景が思い浮かばない訳ではない。寧ろその逆で、雪の白さ、風の冷たさ、飲み屋の暖かさと寒々しさ、その全ては脳裏に浮かんでくる。 けれどそれとは別に、この…続きを読む

この"作品"の最も優れている点は、人の目、特に創作を行う作者達の目に、多くの作品を届けるという点である。 作者様の素直な感想を読んでいると、「あー、分かる」と共感する事もあるし、…続きを読む

素材、即ち物語の骨組自体は王道のそれである。無駄に尖ったアイディアに縛られている訳でも、物語そのものを破滅させるような展開が用意されている訳でもない。普通に手に汗握り、普通にワクワ…続きを読む

私はチェシャ猫ではない。もちろんアリスでもない。 けれど気分は「不思議の国のアリス」である。私が持つ思想や世界観、小説に込める信念などとは、この作品が内包する要素はあまりにも違い過…続きを読む

読み始めた時、「水滸伝」を思い出した。 子供の頃に読んで、作者の名前は思い出せないけれど、ざくり、ざくりと噛み切るように短く、力強い文章には自分の文章も影響を受けた(とは言え、自分…続きを読む

クレープと言えば甘いものだ。私は最初、この作品はそんな感じの軽い話かと思っていた。しかし、一口齧ると中に詰まっていたのはフルーツやホイップクリームではなく、甘辛いタレを絡めた肉が詰…続きを読む

文章は肉厚で噛み応えがあり、ストーリーは濃く万人に通じるであろう味付け。 何より、口に入れて飲み下すまで、ずっと”熱い”物語でした。燃え盛るような主人公の原動力が常に物語の芯で滾っ…続きを読む