これこそが"物語"だ

読み始めた時、「水滸伝」を思い出した。
子供の頃に読んで、作者の名前は思い出せないけれど、ざくり、ざくりと噛み切るように短く、力強い文章には自分の文章も影響を受けた(とは言え、自分のはせいぜい隅を齧った程度のものだけれど)。

読み進める内に、全身の血が熱を帯びた。次第が沸騰して、最後は心臓がのたうち回る程に嫉妬した。

この物語は、ただ文章が上手いだけじゃない。ストーリーそのものが、面白い。「個人」と「軍(国)」の二つの軸が、「伝説」によって一つに寄り合わされていくのを追っていくのに、自分はとてもワクワクした。そう、年甲斐も無くワクワクしたのである。

そうだ、読書ってこんなに面白かったんだ。
この作品は思い出させてくれた。
この言い回しが通じるかは分からないが、今の物語業界についていけない人は、絶対に読んだ方がいい。て言うか、読め。以上。

その他のおすすめレビュー

罵論≪バロン≫さんの他のおすすめレビュー8