ファンタジーの中の現実。それは、闇。

例えば人は、刺しもしない黒い虫が物陰から現れただけでもギョッとするものである。

ならば現れたものが人間よりも大きく、より異質で禍々しく、そして人を簡単に殺しうる存在であったらどうだろうか。

正気を失うか、これは夢だと思い込むか、いずれにせよ平静ではいられないはずだ。

しかし、我々のよく知るファンタジー勇者達は、魔物共を相手にそんなそぶりを見せはしない。我々も、そういうもんだと思っているがゆえに、違和感を感じない。

この短い物語は、そういった現実とファンタジーの溝に投じられた一石である。

元英雄の介護施設というアイディアに続く、ファンタジーの語られざる一幕。素晴らしいアイディア。

皆さん、是非ご一読を!

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