概要
生類を憐れまず
御庭番・蛭子十郎太は、御側御用取次である小笠原若狭守に呼び出され、「神部藩でお前の身に起きた事、見た事、聞いた事をありのままを報告せよ」という役目を受ける。
十郎太は困惑しながらも、日本海に浮かぶ孤島・神部藩に足を踏み入れるのだが――
十郎太は困惑しながらも、日本海に浮かぶ孤島・神部藩に足を踏み入れるのだが――
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!江戸時代的「分割統治」――利益を確保しつつ蒙昧な下民を相撃させよ
この物語は、神部藩における城下町の施設が豪華なのに対し町人が栄えていない矛盾を解明しようとするなかで、ある問題に直面する密偵の体験談である。
はじめに思考の水面に浮かんだのは、神部藩の政策が分割統治そのものに感じられたことだ。
分割統治とは、『Wikipedia』の概要によれば「ある者が統治を行うにあたり、被支配者を分割することで支配を容易にさせる手法」という。外領を侵略し植民地的にさせ、奴隷や自国に都合の良い者を獲得し、また資本を収集するにあたって、周辺の対抗勢力に団結組織を形成させないために勢力分断を引き起こさせ各個撃破可能な状態に置くのである。これをしたことで有名なのは古代ロー…続きを読む