細部まで丹念に織り上げられた終末世界紀行!

あらすじに関しては他の方のレビューで触れられているので割愛しますが、なんといってもポストアポカリプス世界の細かな描写の一つひとつが丹念に作られているのが素晴らしい作品です。
文明崩壊後の言語や社会の変遷といった人文科学方面での考証が行き届いているのがとても心地よく、そういった分野に魅力を感じる人間にはたまらないものがあります。現代人にもお馴染みの「バケツ」や「プルタブ」といった品々が一度カタストロフィを迎えた世界でどのような意味を持つようになったのかは、ぜひ本編を読んで確かめてみてください。
荒廃した首都圏を巡るポストアポカリプス・ツーリズムものとしても面白く、精緻で表現力ゆたかな筆運びも相まって、現在と未来の情景を思い浮かべながら読み進めていく楽しみもあります。
高井戸君と薫子先輩がどのような物語を紡いでいくのか、この先も目が離せない作品です!

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