軽快なテンポと美しい海中描写で彩るSF小説。読み続けるうちに自分も海中にいる気分にる。SFが苦手な方でも読める一品!
起承転結の展開がとても心地よいSF小説。彼女とぼくが守りたかったものの、描き方がとても切なく美しかったです。
夏の海を訪れた少年。イルカのように泳ぐ少女。彼らの秘密を知った時、世界は一変する。静かな海。太陽の日射し。生命を燃やすように、泳いで。禁じられた海の底。逸脱した、自由。二人きり、いつまでも。彼女の日焼けした肌、柔らかな唇。私たちの、ありふれた生の輝き。閉じられた世界で。刻まれた数列が輝く。きらきらと。
こんなに美しいSFに出会えて本当に嬉しい、何度も読み返してお話に浸りたい。そう思える作品でした。読後も私の中で、このお話の冷たさと美しさが生きています。SFを普段読まない人にこそお勧めしたい作品です。
この作品、複数でありながら個である不思議な感覚を読む者に残してくれます。「人」という枠を超え、より長く深く、そして確実な繋がりを感じます。完全なSFで機械やデータの世界なのに、人間的な温かみや感情がうまく共存していました。
冒頭から海の美しい描写に引き込まれ、生き物たちの織りなす豊かな世界に魅せられました。読み進めていくうちに、SF要素が加わって、独自の世界観が現れます。体を重ねることはできなくても、唇を重ね、記憶を受け継ぐことはできる。それは主人公ふたりにしかできない尊い愛の形なのだということがひしひしと伝わってきました。佳作なのでぜひお読みください。
純度の高いSF作品です。切ないけれど、静かな余韻を残す幕引きに、ほおっと吐息が漏れました。
素敵な海中散歩の光景。読めば自然と目に浮かんでくるその美しさに、最初は心が奪われました。 ですが、読み進めるうちに気づきました。その『素敵』はまだ、この作品の魅力のほんの表層に過ぎない、ということに。 次々と見えてくる『素敵』に、私は最後まで圧倒され続けました。
冒頭の詩的な雰囲気と、後半のSF的な展開の一見相いれない要素が、上手く調和した、絶妙な世界観を楽しませていただきました。短編で書かれていますが、続編や、オムニバス、番外編などあったら読んでみたいです。
先入観なしで読んで欲しい一編です。
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