第17章
それから私は、大翔に話しかけるのをやめた。困らせるのは嫌だったし、それに「告らない」って宣言した以上は告白したくなくて、でも一緒にいると耐えられなくて告白しちゃいそうだったから。
それでも、大翔が「真衣」って呼んでくれた時は凄く嬉しくて、好きって言う気持ちを嫌でも自覚したし、あんまり笑わないようにしていたけど絶対に満面の笑みだったと思う。
そんなことを続けて1ヶ月。私の努力は実り、私たち両思い説は少しずつ薄れていった。良かった、私は安心して、でも噂が真実になることがなかったことに落胆して、1日1日、過ごしていた。
そんなある日の昼休み。
「真衣」
「ひ、大翔、、、っ、どうしたの?」
直視できなくて少し顔を背けながら言う私に、大翔は強張った顔で言った。
「今日5時くらいに俺ん家来て」
「え、、、?」
私は驚いて声が出なかった。大翔は私を置いて去っていってしまった。
そして、その日の放課後。
ピーンポーン
「真衣か。上がって」
「うん、、、」
いつもより少し気まずい。
「あの、どうしたの?急に」
「あ、うん。その、真衣と最近話して無いなと思って」
それを聞いて、私は目を伏せた。わざと避けてしまっていたからだ。そんな私を見ながら、大翔は続ける。
「俺のこと、、、嫌いなのか?」
「え?」
私は大翔を凝視した。
「素直に言って」
私を鋭く見つめる大翔。こう言うとこはほんとに男子って感じで、こんな時なのにドキドキしてる私。馬鹿みたいだ。
「嫌い、じゃない」
私は耐えられなくなって俯いた。
「ほんと?最近真衣に話しかけてもろくな答えが返ってこなかったから」
「えっと、それは、、、誤解されたら困るだろうなって思って」
「、、、」
大翔は私を見ている。まぁ、そうだよね。そりゃあ言い訳っぽいけどさ。本当のこと言ったのにその視線は酷くない?
私はイライラしてきた。
だから多分、周りが見えていなかったんだと思う。
大翔が私に近づいてきているのに、全く気づいてなかったから。
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