第8章

土曜は朝から手芸部の活動があり、午後にかえってきた。学校にいた時はずっと卓也と桜井のことを考え続けていた。どちらかは必ず振ってしまうことになる。私は、卓也にも桜井にも悲しんで欲しくなかった。それがますます事態を複雑にしてしまう。

私は親友の大翔に相談しに行った。

「お、真衣。どうした?今親いないしとりあえず入って」

いきなり行ったのに、大翔は優しく家に招いてくれた。そうした古株の友達ならではの気遣いに心が温まる。

「ありがと、、、で相談なんだけど」

私は出されたお茶を一口飲んで切り出した。

「うん、、、なに?」

大翔は私のことを真剣に見つめている。

「ずっと言ってなかったんだけど、卓也と桜井から告白されれてて。明日桜井には返事しないといけなくて、卓也にもそろそろ言わないとなって思ってるんだけど」

私はここまで言ってから大翔の反応を見た。大翔は告白されていたことに驚いたみたい。これまではどちらが好きかわからないとしか言ってなかったし。目を見開いて、でも真剣に聞いてくれている。

「どちらを選べば良いかわからないのか?」

「そうなんだよね、、、」

「卓也も春樹も、両方とも真衣のこと、真面目に考えてると思う。だから本当は俺からはなんとも言えないんだけど、、、」

「けど?」

私が思わず促すと、大翔は言いにくそうに続けた。

「本音を言えば、真衣は卓也が好きなんだと思ってた。凄く楽しそうにしてるし、親友として言わせて貰えば卓也なら真衣を預けられる」

私は大翔が私のことをちゃんと思ってくれてるんだとわかって嬉しくなった。

「そっか。確かに卓也は信頼してる。でもそれは桜井もおんなじなの。恋愛感情は無い、と思うんだ」

「そうか。よく考えて、そう思ったのか?」

「うん。でも、やっぱり卓也はオーケーしようかなぁ、、、凄く思ってくれてる感じがするし。」

「でも、それは多分春樹も一緒だぞ。気持ちだけなら春樹の方が大きいかもな」

「そっか、、、」

それから、私は2時間くらいの間大翔の家にいた。私は、自分が何を思っていたのか改めて気づいたのと同時に、ますますそれで悩むことになった。でも、大翔には『ここから先は真衣が考えるべきだ』と言われたし、私自身もそれには納得した。私は、悩み続けた。そして、、、決まった。答えが。

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