第15章
その日、大翔と私は一緒に下校した。私は大翔にあんまり近づかないようにした方が良いかと思ったけど、大翔が誘ってきたからオーケーすることにしたんだ。
「今日は、ありがとう」
大翔が黙っているので、私から切り出してみることにした。でも、大翔は誤解されたのがよほどショックなのか黙っている。
「ごめんね、、、?」
なんだか申し訳なくて、謝ると、、、
「え?なんで??」
大翔はきょとんとした顔をしている。
「なんでって、、、誤解招くようなことさせちゃったし」
「いや、俺が好きでしたことだから全然気にしなくていいよ。むしろ俺の方こそごめん」
「いやいや、、庇ってくれて嬉しかったよ」
大翔が余りにも申し訳なさそうな顔をするから、慌てて言った。それでもなんだか落ち着かないさそうな顔をしているから、私はどうしていいのか分からず不安になる。それを察したのか、大翔が口を開いた。
「あのさ。今日一緒に帰ろうって誘ったのは、その、、、言いたいことがあったからなんだけど」
私は、大翔の言葉に少し緊張した。それはありえないって分かってるけど、なんとなく「言いたいことがある」って好きな人に言われたら期待してしまう。
「うん」
「あぁー、やっぱいいや。別にそんな大したことじゃないし。また今度な」
「う、うん、、、分かった」
私は少し期待を打ち砕かれてショックだけど、まぁありえないって想定していたから傷は軽い。それに、由紀のことが好きと桜井に言われてもう落ち込んだし。
「あのさ、大翔の好きな人って誰?」
私は、思い切って聞いてみた。傷が深くなる気もするけど、なんとなく今しかないって思った。
「ヒミツだよ。相手にバレたら嫌われそうだし」
「えー?そんなこと言って。実はかなり両思い率高かったりするんでしょ??」
これ以上はやめようって思うのに、傷つきたく無いって思うのに、どうしても好奇心と期待が勝って問い詰めてしまった。大翔は、私を見ずにさらっと言った。
「ヒミツって言ってるだろ。絶対教えない」
私がちらっと見た横顔は、何と無く冷たい感じがして、怒られてる訳でも無いのに怖くなった。
「ごめんね、、、無理矢理聞こうとして。私の時も応援してもらって凄く助かったから、大翔を助けてあげられたら良いなって思ったんだけど」
大翔はニコッと笑って言った。
「ありがと。でも、真衣には相談できない人だから気持ちだけ受け取っておく」
、、、その好きな人って、由紀なの?
私は心の中で問いかける。さっきまでは期待でワクワクしていたのに、一気に心が冷えて悲しくなった。
「、、、そっか。でも、話したくなったらいつでも言ってね!」
私は、そう言うのが精一杯だった。
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