第14章

「俺が高野に一緒に学校行こうって誘ったんだけど今日寝坊しちゃって、高野は待ってくれてたんです。すんません」

大翔は庇ってくれたの?私のせいなのに。優しいね、、でも。

「大翔、、じゃなくて村上さんは寝坊したわけじゃありません!村上さんの家の玄関で私が村上さんと話し込んじゃったのがいけないんです。村上さんは悪くありません」

私は思わず言ってしまった。大翔に押し付けるのは良くないって思ったから。大翔は振り返って驚いた顔をしている。その視線を感じながらも、私は先生を見つめた。

男子達が騒ぐのが聞こえる。

「分かった。とにかく今度から気をつけてくれればいいから。2人とも席に着いて」

「「はい」」

、、、とりあえず収まったかな?良かった。私は安心して席に着いた。隣には桜井だ。

「真衣。あいつと付き合うの??」

桜井は意外そうな顔だ。

「付き合ってないよ」

私はこれだけ答えた。

、、、付き合ってない、だけで付き合いたいか付き合いたくないかを言ってないのがポイントだよね。

「中井がめっちゃ睨んでたぜ。村上のこと」

「、、、それは嬉しくないニュースだね」

私は言う。でも、大翔に告白する予定は今のところ無いからきっと大丈夫なはずだ。それに告白したってオーケーされるかは分からないし。っていうか、大翔には好きな人がいるのだから振られるに決まっている。

「お前はどう思ってるかは知らないけど。村上は、辻本のことが好きだって噂だぜ。もし村上のこと好きなら諦めた方が良いと思う」

「え?だって由紀は」

「風間と付き合ってんだろ?ま、噂だから信じなくてもいーけどさ」

そう。私の親友の辻本由紀は、風間悠斗って言う彼氏がいるんだよね。悠斗くんは昔から由紀のこと大好きで、由紀と仲良くしてた。ある意味私と卓也みたいな関係だったんだけど悠斗のこと由紀も小6辺りから好きで悠斗が3月に告ったとき即オーケーしたらしい。

私の頭の中で、大翔が言った「俺の気持ちに気付いたら対応に困って離れていく気がする」が再現される。大翔の好きな人が由紀なら、それは辻褄が合う。

そっか、、、大翔は由紀が好きなんだ。覚悟していたはずなのに、やってきた絶望とか悲しみとかは、私に深く突き刺さった。

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