5 夢の浮橋 side A

・夢の浮橋うきはし

 夢のかよ浮橋うきはし舟橋ふなばしからよりはかないイメージを

 持ち、転じてはかないもののこと。


 2 辛味という味覚はない(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649943238793)より

  ・辛味という味覚はない

   いわゆる辛味というのは痛覚であって

   味覚ではない。

   であれば歯医者でガチビビりするぐらい

   口の中が過敏な私が辛いのが苦手なのは当然

   である。


  ・カロライナの死神キャロライナ・リーパー(百五十万スコヴィル値超え)

   現在のギネスにってる最辛唐辛子品種

   唐辛子の辛さを表すスコヴィル値にして

   153万〜223万スコヴィル。

   一応これを超える248万スコヴィルの

   ドラゴン・ブレスなる品種もあるらしいが

   ギネスには登録されてない。

   スコヴィル値の参考を出すとハラペーニョが2500〜

   8000、ハバネロが20万〜45万。

   このインフレ……DBの戦闘力か?



 4 妖美妖言(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649960023468)より

  ・妖美

   人を惑わすあやしい美しさのこと。


  ・妖言

   人を迷わせる流言のこと。



 5 単純明快、旗幟鮮明きしせんめいhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649961002431)より

  ・旗幟鮮明きしせんめい

   立場や主張、態度などがはっきりしていること。


  ・イェイツ

   ウィリアム・B・イェイツ。

   アイルランドの詩人にして劇作家。

   ケルト神話や妖精を題材に多くの作品を世に

   出した。



 6 妖精の恋人(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649962067428)より

  ・リャナン・シーLeannan-sidhe

   どういうものかについては本編に譲る。

   英字表記はアイルランド語による。

   マン島語だとLhiannan-Sheeで、

   発音もラナンシーになるらしい。

   この辺りは『世界の妖精・妖怪事典』

   (原書房)参考。


  ・運命の女famme fatale

   ファム・ファタール。

   周囲(特に物語上の主人公となる男)を

   巻き込んで破滅する女性(多く悲劇のヒロイン)



 7 現実と知覚は不可分にして非同一(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649965291177)より

  ・類像シミュラクラ現象

   本来はランダムな三つの点が少しでも

   逆三角形のような配置だった場合、

   人がそこに顔を見出してしまうというような

   現象。木目とか∵とか。

   心霊写真の大半はこれによるもの、とも。


  ・パレイドリア

   雲の形に何かを見出したり、月のクレーターに

   ウサギや蟹を見出したりするようなもの。

   類像シミュラクラ現象のさらに広範なもの、

   とも言える。


  ・現実界と想像界

   本来は現実界と想像界と象徴界の三つ。

   象徴界は言語・図像・記号、それらと

   紐づく概念で構成される。

   いわば我々人間の思考回路など。

   想像界は人間が感覚器で受容=観測して

   脳内で再構築した世界、つまりいま視界に

   映るのも、触った感触も匂いも全部想像界。

   現実界は観測に縛られないありのままの

   世界であり、人間は感覚器で受容=観測する

   しかない以上、この現実界には触れない。


  ・わからん、投げたい

   ラカンの精神分析学は難解すぎる。

   主にラカンが生粋のフランス人なのに

   フランス語でおkな代物とまことしやかに

   言われる程度に。

   一応、著書として『エクリ』という論文集がある、

   が……翻訳読むよりは原書の方がまだわかる、

   とか。



 8 夢境むきょうhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649965587142)より

  ・夢境むきょう

   夢の中の世界のこと。=夢路。


  ・茄子なすの揚げびた

   茄子なす煮浸にびたしにすると

   茄子なすの皮のナスニンという水溶性の

   色素がけ出てとんでもない色になる。

   具体的に言うと一緒に入れた油揚げが

   灰色がかった藍色になる……実際に見たけど

   あれはデニム生地……。

   揚げびたしにするのは水溶性の

   ナスニンが溶けださないように揚げるからなのだ、

   という豆知識。

 

  ・Somnus imago mortis.

   ソムヌス・イマーゴ・モルティス。

   「眠りは死の似姿」あるいは「死の似姿は眠り」

   ラテン語には語順が自由かつ冠詞がないので、

   主語を特定しにくい、という難がある。

   古典ギリシャ語くんはその点冠詞があるんだけど、

   語の頭が変化するとかいう辞書引き泣かせなところ

   あるから……


  ・仏は常にいませども、うつつならぬぞあわれなる、人の音せぬあかつきに、ほのかに夢に見え給たもう

   『梁塵秘抄りょうじんひしょう』の26。

   仏教について歌った法文歌ほうもんか

   中でも著名な一つ。

   「仏は常にいるが、現実に見えぬことこそは

   素晴らしい。ただ静かな暁の夢にわずかにだけ

   見えなさる」


  ・摩耶夫人まやふじん

   お釈迦様の母親。白い象が胎内に入る夢を見、

   その後、ルンビニの花園で右脇から

   お釈迦様を産んだ。


  ・大物主神おおものぬしのかみたた

   崇神すじん帝が疫病の流行や天変地異に

   悩み、夢に神意を得ようとすると、

   夢に大物主神おおものぬしのかみが現れ、

   「これは私の意によるものである。

   これにより意富多多泥古おほたたねこに私を

   まつらせれば、たたりは収まり、

   国は安らぐ」と告げた。

   そこで意富多多泥古おほたたねこを探し出し、

   御諸山みもろやま=三輪山に意富美和おほみわの大神

   =大物主神おおものぬしのかみを祀らせ、更に伊迦賀色許男命いかがしこおのみこと

   命じて、多くの皿を作り、天神地祇あまつかみくにつかみまつやしろ

   定め、宇陀うだ墨坂神すみさかのかみに赤のたてほこを、

   葛下郡かつらぎのしものこおりに位置したと思われる大坂神おおさかのかみ

   黒のたてほこを、そして数多の国境の神に幣帛みてぐら

   ささげ、まつると疫病は収まったという。

   このたてほこ幣帛みてぐらの設置の

   行為自体は一種の道切りと考えるのが妥当か。


  ・法隆寺の夢殿ゆめどの

   『法華義疏ほっけぎしょ』(法華経ほけきょう注釈書)を

   記していた聖徳太子が夢で金人きんじん=仏の

   お告げを受け、この夢殿ゆめどの建立こんりゅうした

   という。


  ・華胥之夢かしょのゆめ

   昼寝、吉夢のことと言うが、中国伝説上の皇帝、

   黄帝こうていが昼寝に華胥かしょという名の

   理想郷を夢見、後にそれを参考に統治を

   おこなったという故事から。

  『十二国記』の短編で知った人もいるんじゃない

   かな?


  ・胡蝶之夢こちょうのゆめ

   荘子そうしが自身が胡蝶こちょうになった夢を見たことで、

   自身が胡蝶こちょうなのか、胡蝶こちょうが自身なのか

   わからなくなったという故事から、夢と現実、

   あるいは自他の境がわからなくなること。


  ・邯鄲之夢かんたんのゆめ

   邯鄲かんたんという町で盧生ろせいという青年が、

   呂翁ろおうという道士から枕を借りて寝たところ、

   栄華をきわめた人生の夢を見たが、目覚めてみると

   黄粱こうりょうあわ)がき上がるだけの

   時間すらっていなかったという故事から。

   一炊之夢いっすいのゆめ黄梁之夢こうりょうのゆめ盧生之夢ろせいのゆめ

   邯鄲之枕かんたんのまくら黄梁一炊こうりょういっすいなど、

   多くの言い方がある。



 9 異なるもの(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649973265072)より

  ・ドイツ語の悪夢alptraum

   ドイツ語はalp-traumでalpが妖精。本来はalb-traum

   だったのが現在の形になったと思われる。

   albのbがpやfになるのはAlfred、Alberichなどにも

   見られる。(それぞれAlf-red、Alb-e-richという

   ようにわけられる)

   まあゲルマン系由来の名前で前半がAl入ってる

   奴はbすら落ちたalb要素の可能性があるというが、

   同時に高貴を意味するadel要素のde欠落の場合も

   あるので確定できない罠。


  ・スウェーデン語の悪夢mardröm

   mar-dröm。mar-、maraは悪夢を見せる妖精

   とされる。


  ・芸術の女神ミューズ

   ギリシャ神話の芸術の女神、ムーサΜυσαの英語形。

   複数形はムーサイΜυσαιで3~9柱の姉妹と言われる。

   現代の世間一般ではカリオペー(叙事詩)、

   クレイオー(歴史)、エウテルペー(抒情詩)、

   タレイア(喜劇・牧歌)、メルポメネー(悲劇・

   挽歌)、テルプシコラー(合唱・舞踏)、

   エラトー(独吟叙事詩)、ポリュムニアー

   (讃歌)、ウーラニアー(天文学)の九人姉妹説が

   一般的か。

   博物館等を意味するMeusiumの語源。



 11 治療において時として傷は抉られる(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139555406802559)より

  ・騙されたhoney-trapped

   調べたら普通に動詞扱いで驚いた。



 12 手に入りやすいものは限られる(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330649981352373)より

  ・Tacent, satis laudant

   タケント・サティス・ラウダント

   「黙っていることはすなわち十分に褒めている

   こと」


  ・Cum tacent, clamant.

   クム・タケント・クラマント

   「黙っていると同時に叫んでいる」

   ここに「賛成」の意味が入るのは、

   この文章が作成されたキケローの

   カティリーナ弾劾の文意に則した結果。


  ・ナナカマドrowan

   北欧神話におけるトールとの関係から、

   雷けの護符としての側面を持つ。

   また、ダウジング用のロッドの材料としても

   推奨される。


  ・パンbread

   パン=キリストの肉、聖体との考えはそっち方面の

   基礎中の基礎。

   聖体拝領用のパンでなくとも、それと同等に

   普通のパンを粗末に扱うことが忌避されたのは

   アンデルセンの『パンを踏んだ娘』からも

   読み取れる。



 13 聖ザカリアの十字(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330650106683433)より

  ・聖ザカリアの十字

   ここに書いてある通りのもので、

   かつside Bで記述の通り、本来はペスト

   の護符。この十字の形の金属板や木の板に記述し、

   身に着けた。


  ・混同しすぎるのは良くない

   スピ系的には北枕はパワーの入ってくる行為とか

   だったか。

   この北枕の元も仏教的には、むしろお釈迦様の目的

   の成った瞬間という喜ばしいものであり、それに

   なぞらえているだけで、日本の死穢しえ

   考えと結びついてはじき出された結果が

   不吉と言える。

   不謹慎という名目の無駄な自粛とも同じ事です。


  ・おまじないなんてそんなもん

   百人一首の和歌や『平家物語』初出と

   思しき和歌がまじない歌として

   使用されるのも、ある程度意味がわかる

   部分とわからない部分が共存するから。

   また、多く文字を記す護符というのは、

   一見すると内容を把握しきれないもの、というのは

   多い(イニシャリズムの使用、日本における梵字の

   ような通常使用しない文字、常用外漢字の

   使用による)



 14 深淵が覗く時(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330650167523283)より

  ・はずの一欠ひとかけを埋めるための行為

   ちょっとラカンの精神分析の対象aあたりを

   踏まえた言い方。

   人はおのれに万能性の欠如を見出し、

   それをおぎないうる幻を追い求める。その行為を

   こそ生である、とラカンは言う。



 15 そして事ここに至る(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330650224567964)より

  ・オルフェウスOrpheus

    Ορφεύς。フランス語だとオルフェ。

   より古典発音だとオルペウス。

   密儀宗教オルペウス教の始祖とも。

   ギリシャ神話の冥界下りで有名な詩人。

   主流な説としてはムーサイの一人、カリオペー

   (叙事詩担当)を母とした半神半人。

   妻エウリュディケーの死を悲しみ、その

   復活を求め、その楽才を武器に冥界へと下った。

   オルフェウスの歌を聞いたハーデースと

   ペルセポネー両名からエウリュディケーを連れ帰る

   ことを許されるが、条件として、地上に出るまで

   後ろをついてくるエウリュディケーを振り返っては

   いけない、と言われる。

   当然、出口間際でうっかり振り返ってしまい、

   エウリュディケーを永遠に失ってしまう。

   そうして悲しみに放浪するオルフェウスを

   ディオニューソスを信仰する女達、マイナスが

   八つ裂きにして殺し、川に流されたオルフェウスの

   琴をゼウスが天に引き上げたのが琴座である……

   というのが通説になっているが、

   古代の神話バリエーションでは無事連れ帰ったもの

   もあるらしい。


  ・ロトの妻Eshet Lotの塩柱

   旧約聖書のソドムとゴモラの滅亡に際し、

   ソドムで唯一信仰と道徳を守っていたロトの

   一家は神によって逃される。

   ところが、この時の振り返ってはならないという

   約束を守らなかったロトの妻は塩の柱と

   化してしまった。

   なお、近年の発掘調査により死海近くの

   トール・エル・ハマムと呼ばれる都市の遺跡が

   隕石の爆発によって滅亡し、さらにはこの爆発で

   周囲の地に塩害がもたらされたと考えられて

   おり、これが天から硫黄と火を注がれたとされる

   ソドムとゴモラ伝承、及びこの塩柱に繋がるのでは

   ないか、と言われたりする。


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