2 辛味という味覚はない
そんな男にちょいと
「外だと話しにくい事もあるだろ」
まあ相手がこんなオジサンで申し訳ねえな、と付け足して
「一応、夢見が悪いとしか聞いてねえが、たぶん同じ夢でも繰り返し見てんだろ?」
「ええと、そう、ですね。その、よく覚えてないんですが、たぶん、そう、です」
助手席に座って、すぐに発進させるわけでもないのに
「ところで、高橋くん、君、最近すごいみたいね。記事」
「いえ、僕なんてまだまだ
「これで
で、とそこで話を区切った
「本当に覚えてないのか? それとも
「……後者、です。俺、その、ロクな青春ていうもんを送った気がしなくて、その、潔癖、なのかなあって」
中学ではクラス一のガリ勉の立ち位置、高校は私立の進学校、大学でほろ苦いを遥かに通り越した焦げ付いた砂糖に唐辛子――それも
「お、おう。なんか、デリケートくさいな?」
「……女性の夢、ではあるんです。ただ、美人、なのはわかりますし、体つきも確かに好みだとは思うんですが、顔はよく覚えてません」
「あー、なんだ、その、端的に言って、
もうそう言われると
耳を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます