7 現実と知覚は不可分にして非同一
「と、
二つ目の唐揚げを
そういえば、頼む時にやたら唐揚げを
「つまり、キミはリャナン・シーに
ちょっと含みのある言い方である。
はあ、という
「ただ、十分かというと、不十分ではあるよね」
「不十分、ですか」
「うん。まあ、そもそもリャナン・シーの現在一般の認識の成立には、イェイツの影響もあるんだけど……それからすると、まず彼女は対象者の現実に現れるはずなんだ」
こつこつ、と
「俺の、現実?」
「高橋くん、キミ、頭悪くない方だろ? 僕らにとっての現実ってつまり、世界からの働きかけを感覚器が受けた刺激がパルスという電気信号に変換されて、神経を流れた先の脳で受容されて再構築されたもの、翻訳されたもの、だぜ? 本当に現実という再構築された書き割りが誰にとっても同じか、そもそも本当に現実そのままを僕らが見てるのかなんて、誰にもわかんないよ。翻訳過程で
妙に実感のこもった口調で、
『不思議の国のアリス』で言うなら、彼はチェシャ猫だろうか。それとも、イカれ帽子屋? いや、そもそもアリスは
パレイドリアもそれに類する、というか逆に
「……クオリアの話、ということで?」
「そうそう。なんなら、ジャン=ジャック・ラカンの精神分析における現実界と想像界でもいいけど、知ってるかな」
面白そうにそう言ってのけた
「
わからん、投げたいとその先輩は泣いていた。
「高橋くん、
「ナオも少ないわけじゃないでしょ」
「いや、ロビンくんのが変に専門性が高い
隣は
「まあ、クオリアの話で伝わるなら、それで構わないよ。で、高橋くん、キミの現実にリャナン・シー、ないし理想の美女は現れたかい?」
その目にまた緑色を揺らめかせて、
理想かどうかとその
「だよね。だって、それならキミは今頃ストーカー被害を訴えて狂言とはき捨てられてるか、
そう語る様子はどこか愉快そうに見えるが、語る内容が愉快に語られてはたまらない
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