この上なく

 佐藤春夫は『秋刀魚の歌』で秋刀魚苦いか塩っぱいか(※原文は旧仮名遣い)と述べた。
 本作は差し詰め『レモン甘いか酸っぱいか』といったところか。
 娯楽作品として登場人物の配置や台詞の一つ一つが丁寧に研磨され描き抜かれている一方で、純文学としての余韻も感じさせる。
 恋愛を結晶化した飴玉のような傑作。

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