マクシミリアンの「涙」に焦点を当てた甘酸っぱい気持ちになれる素敵な作品。涙の形は色々……ちょっと距離感のあったマクシミリアンの流す涙を見て、主人公の女の子が特別な気持ちを抱くようになっていく描写は、とても読みやすく感情移入もしやすいです。読みながらもらい泣きしてしまいそうなシーンもあって、ボリューム少なめの文字数ながらガッツリと楽しめる一作ですよ☆
推し尊いの一ファンであった主人公が、どのようにマクシミリアンへのまなざしが変わっていき、またどこが変わらなかったのか。一ファンである主人公の節度ある行動や判断にも好感が持てます。そんな主人公のマクシミリアンとの関係とその見え方の変化、そこから生まれる未知の領域に、読者もまた共に、血が通い神経が通っていく感覚があります。一体感を損なうことなく、気がつくと、見え方ががらりと変わっている。そのプロセスに無理がなく、門外漢にもリアリティのある体験でした。画的にも美しいと思います。よかった。
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