「表現」が禁じられ、客観的な事実の「記述」のみ許される未来に迷い込んだ主人公が、当時代の人物であるミヤさんと協力して突如発生した事件を解決する短編SFミステリー。何かにつけて「個人の感想です」と注釈がつけられる現代に生きる身として、本作の設定はけっして他人事には思えない。
SFをあまり好まない方には『ディストピア』という言葉の意味がよくわからない方も多いでしょう。その時はこの小説をおすすめすると良いでしょう!ディストピアと言っても厳密には種類が色々あるのですが、こちらを抑えておけばとりあえず問題ありません。短いながらもきれいにまとめられており、小説としての完成度も◎です。ラノベテイストな序文となっているので古典ディストピア小説の堅い文章が苦手な方もすんかり世界に入り込めると思います。主人公はディストピア小説の金字塔『一九八四』を読破することができるのか……!!!
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